自治体は医師の人材確保解決のため医学部の地域枠受験を実施しています。

医学部の地域枠受験

医学部受験と主要科目

医学部の地域枠受験
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医学部入試では一般枠とは別に地域枠という選抜方法が設けられています。

地域枠は受験資格が地元限定だったり、卒業後は条件が付くなど制約も多いので、定員割れになるなど偏差値が一般入試に比べて下がると言われています。

地域枠とはどんな仕組みで実施されているのか、ここでは入試制度や問題点など詳しく紹介していきます。

医学部の地域枠受験とは

地域枠受験とは、医学部卒業後に僻地医療や小児科・産科医療など人材確保が難しい領域で医師として働いてもらう代わりに、6年間の学費の全額または一部を奨学金として貸与してくれる制度です。

そして、卒業後一定期間(9年程度)医師として従事した場合は、奨学金の返済が免除されるので、実質学費が無料で医学部に入れる大学が沢山あります。

ただし、卒業後に指定した医療機関で定められた期間、医師として働かなければ、貸与された奨学金を返済する義務が生じるので受験の際は慎重に検討を行いましょう。

地域枠受験は都道府県ごとに設置しており、出願要件なども県内出身者に限定するなど規定が異なってくるので、まずは志望する医学部や自治体の要件などを確認してみることをおすすめします。

学費の高額な私立大学医学部でも、地域枠受験を活用することで経済負担を大きく抑えて学ぶことができるので、国公立しか目指せなかった受験生も選択肢が広がります

特に、地域枠がおすすめの受験生は、金銭的に医学部が厳しい、僻地医療に興味がある、小児科や産科などに興味があるなどです。

地方だけでなく東京枠を設置する大学もある


地域枠と言えば、医師不足が深刻な地方や離島などを想像しがちですが、東京都も地域枠を設置して医師確保を行っています。

地域枠は卒業後に指定された地域で医師活動を行わなければならないため、地域枠を敬遠しがちですが、東京枠であればハードルがまだ下がるのではないでしょうか。

ちなみに、東京都地域医療医師奨学金とう名目で、医学部卒業後に東京都の地域医療に従事する強い意志を持った地域枠合格者を対象に、東京都が奨学金を貸与します。

奨学金は、6年間の医学部学費総額と月額10万円の生活費が6年間支給されるという充実ぶりです。

東京枠を設置する医学部

大学名 募集定員
東京慈恵会医科大学 5名
順天堂大学 10名
杏林大学 10名

東京都地域医療医師奨学金の概要

大学名 学費6年間 生活費
東京慈恵会医科大学 2250万円 720万円(月額10万円×6年間)
順天堂大学 2080
杏林大学 3700万円

東京都地域医療医師奨学金の出願資格

次の1から3全ての要件を満たす者

  1. ①東京都内に住所を有し、かつ高等学校等を卒業した者(卒業見込みを含む。)または、②都内の高等学校等を卒業した者(卒業見込みを含む。)
  2. 各大学の「東京都地域枠入学試験」に合格した際に、入学を確約できる者(※合格したときは入学を辞退は不可)
  3. 医師免許取得後、小児医療、周産期医療、救急医療、へき地医療のいずれかの分野で、東京都が指定する医療機関で9年間(初期臨床研修期間を含む)以上の期間、医師として従事しようとする意志を有すること

地域枠を設置する医学部一覧

ここでは、地域枠を採用する全国の医学部を一覧で紹介していきます。

なそ、地域枠の募集人数や条件等は毎年改定されることが多いので、興味がある大学については、応募資格や奨学金の返済免除条件などを各大学の公式サイトで必ず確認して下さい。

北海道・東北地区

大学名 区分 地域枠募集定員 貸与額
旭川医科大学医学部 国立 AO入試北海道特別選抜:32名
推薦入試道北・道東特別選抜:10名
(1)医学部医学科奨学資金貸与制度
・70,000円/月
(2)北海道医師養成確保修学資金(旭川医大枠12名)
・入学金:282,000円(初年度)
・授業料:535,800円(年額)
・生活費:120,000円(月額)
札幌医科大学医学部 公立 北海道医療枠(一般):55名
地域枠(推薦):20名
特別枠(推薦):15名
特別枠のみ、北海道医師養成確保修学資金を貸与
・入学金:282,000円(初年度)
・授業料:535,800円(年額)
・生活費:120,000円(月額)
弘前大学医学部 国立 AO入試:50名(青森県30名含む) 弘前大学医師修学資金制度
・特別枠(定員1年生5名):入学金、授業料、奨学金
・一般枠(定員1年生20名):入学金、授業料
岩手医科大学医学部 私立 地域枠特別推薦入試A:15名
地域枠特別推薦入試B:8名
地域枠特別推薦入試C:5名
(1)地域枠A
・6年間総額3,050万円
(2)地域枠B、C
・6年間総額2,160万円
東北大学医学部 国立 医師確保対策枠(一般):10名 医学生修学資金貸付事業(一般枠・東北大学枠)
・一般枠:卒業まで200,000円(月額)
・東北大学枠:3年次より卒業まで100,000円(月額)
秋田大学医学部 国立 秋田県地域枠(推薦):19名程度
全国地域枠(推薦):5名程度
・入学料相当
・大学卒業まで月額150,000円(自宅通学は10万円)
山形大学医学部 国立 地域枠(一般):8名 年額200万円
福島県立医科大学医学部 公立 推薦B枠(県内):12名程度
推薦B枠(県外):7名程度
一般地域枠:20名程度
福島県緊急医師確保修学資金
・月額15万円
※希望者には入学金相当を加算

関東甲信越地区

大学名 区分 地域枠募集定員 貸与額
筑波大学医学部 国立 推薦入試:22名
県内枠(一般):9名
全国枠(一般):6名
茨城県地域医療医師修学資金貸与制度
・月額15万円
獨協医科大学医学部 私立 AO栃木県枠:3名
一般・センター栃木県枠:7名
公募推薦:10名
栃木県医師修学資金
・入学金100万円
・授業料相当額350万円/年
※公募推薦は奨学金制度なし
群馬大学医学部 国立 推薦入試:7名
一般入試:9名
群馬県緊急医師確保修学資金
・月額15万円(初年度は入学金相当額を加算)
埼玉医科大学医学部 私立 地域枠:15名 地域枠医学生奨学金
・月額20万円以内
杏林大学医学部 私立 東京都地域枠:10名
茨城県地域枠:2名
(1)東京都特別貸与奨学金
・修学金:3,700万円
・生活費:月額10万円
(2)茨城県地域医療医師修学資金
・月額15万円
順天堂大学医学部 私立 東京都地域枠:10名
新潟県地域枠:2名
千葉県地域枠:4名
(1)東京都地域医療医師奨学金(特別貸与奨学金)制度
・修学金:3,700万円
・生活費:月額10万円
(2)新潟県医師養成修学資金貸与制度(重点コース)
・月額30万円
(3)千葉県医師修学資金貸付制度(長期支援コース)
・月額20万円
帝京大学 私立 福島県地域枠:2名
茨城県地域枠:1名
千葉県地域枠:5名
(1)福島県地域医療医師確保修学資金貸与制度
・修学資金:月額23.5万円
・入学金:上限100万円
(2)茨城県地域医療医師修学資金貸与制度
・月額15万円
(3)千葉県医師修学資金貸付制度(長期支援コース)
・月額20万円
東京医科大学 私立 茨城県地域枠:8名以内
山梨県地域枠:2名
(1)茨城県地域医療医師修学資金貸与制度
・月額15万円
(2) 第二種山梨県医師修学資金
・月額13万円
東京医科歯科大学 国立 茨城県地域枠:2名以内 長野県地域枠:2名以内 (1)茨城県地域医療医師修学資金貸与制度
・月額15万円
(2) 長野県医学生修学資金貸与制度
・月額20万円
東京慈恵会医科大学 私立 東京都地域枠:5名 東京都地域医療医師奨学金(特別貸与奨学金)制度
・修学費:2,250万円
・生活費:月額10万円
東邦大学医学部 私立 千葉県地域枠:5名 千葉県医師修学資金貸付制度(長期支援コース)
・月額20万円
日本医科大学医学部 私立 福島県地域枠:1名
千葉県地域枠:3名
(1)福島県地域医療医師確保修学資金
・修学資金:月額23.5万円
・入学金:上限100万円
(2)千葉県医師修学資金貸付制度(長期支援コース)
・月額20万円
北里大学医学部 私立 相模原市地域枠:2名 茨城県地域枠:2名
山梨県地域枠:2名
神奈川県地域枠:5名
(1)相模原市地域医療医師修学資金
・6年間修学費用:3,890万円
(2)茨城県地域医療医師修学資金貸与制度
・月額15万円
(3)山梨県医師修学資金制度(第二種)
・月額13万円
(4)神奈川県地域医療医師修学資金貸付制度
・月額10万円
東海大学医学部 私立 神奈川県地域枠:5名 神奈川県地域医療医師修学資金
・月額10万円
横浜市立大学医学部 公立 神奈川県指定診療科枠:5名
地域医療枠(一般前期):20名
地域医療枠(推薦):5名
(1)神奈川県産科等医師修学資金(※神奈川県指定診療科枠)
・大学入学日の属する年度:月額最大62万円
・その他の年度:月額最大15万円
新潟大学医学部 国立 地域枠A(推薦):5名
地域枠B(推薦):12名
(A)奨学金なし
(B)新潟県修学資金貸与制度
・月額15万円
山梨大学医学部 国立 地域枠(推薦):35名以内 山梨県医師修学資金
・山梨県医師第一種修学資金:月額5万円
・山梨県医師第二種修学資金:月額13万円
信州大学医学部 国立 長野県地域枠(推薦):20名 長野県医学生修学資金
・月額20万円

東海北陸地区

大学名 区分 地域枠募集定員 貸与額
富山大学医学部 国立 特別枠(自己推薦):10名
地域枠(推薦):15名以内
富山県地域医療確保修学資金貸与制度(※特別枠のみ)
・入学金相当額:282,000円
・授業料相当額:年額536,000円
・修学費:月額10万円
金沢大学医学部 国立 石川県地域枠:10名
富山県地域枠:2名
(1)石川県緊急医師確保修学資金
・年額240万円
(2)富山県地域医療確保修学資金貸与制度
・入学金相当額:282,000円
・授業料相当額:年額536,000円
・修学費:月額10万円
岐阜大学医学部 国立 地域枠:28名 岐阜県医学生修学資金(第1種)
・入学金相当額:282,000円
・授業料相当額:年額535,800円
・修学費:月額10万円
藤田医科大学医学部 私立 愛知県地域枠:10名 入学年度:年額300万円+月額17.5万円
2年次以降:年額120万円+月額15万円
愛知医科大学医学部 私立 愛知県地域特別枠:10名 入学年度:年額450万円+月額17.5万円
2年次以降:月額22.5万円
※産婦人科・小児科へ従事の医師がある学生は5年次以降月額5万円以内が加算
名古屋大学医学部 国立 地域枠(推薦):7名 月額15万円
三重大学医学部 国立 三重県地域枠(一般):5名
三重県地域枠(推薦):30名
三重県医師修学資金(一般、推薦ともに同じ)
・初年度:1,517,800円   
・2年次以降:1,235,800円
福井大学医学部 国立 福井健康推進枠:10名
福井県地域枠(推薦):5名
福井県医師確保修学資金(※健康推進枠のみ)
・入学金:28.2万円
・入学時費用:10万円
・授業料:年額53.58万円
・生活費:月額10万円

近畿地区

大学名 区分 地域枠募集定員 貸与額
滋賀医科大学医学部 国立 滋賀県地域枠:13名以内 なし
京都府立医科大学医学部 公立 特別推薦選抜:7名 月額15万円
関西医科大学医学部 私立 大阪府地域枠:5名 大阪府地域医療確保修学資金:年額120万円
関西医科大学修学資金:年額200万円
近畿大学医学部 私立 大阪府地域枠:3名
奈良県地域枠:2名
和歌山県地域枠:10名
静岡県地域枠(一般):5名
静岡県地域枠(推薦):15名
(1)大阪府地域医療確保修学資金
・月額10万円
(2)奈良県緊急医師確保修学資金
・月額20万円
・入学金相当額100万円
(3)和歌山県地域医師確保修学資金
・月額20万円 (4)静岡県医学修学研修資金
・月額20万円
大阪医科大学医学部 私立 大阪府地域枠:2名 大阪府地域医療確保修学資金:年額120万円
大阪医科大学修学資金:年額200万円
大阪市立大学医学部 公立 大阪府地域枠:10名
大阪府指定医療枠:5名
大阪府地域医療確保修学資金
・研修資金(※大阪府指定医療枠)
・月額10万円
神戸大学医学部 国立 兵庫県地域枠:10名 兵庫県養成医師制度
・6年総額1,151万円
兵庫医科大学医学部 私立 地域指定制推薦入試:5名以内
兵庫県推薦入学制度:5名以内
兵庫県推薦入学制度
・6年総額4,480万円
奈良県立医科大学医学部 公立 奈良県地域枠:25名
緊急医師確保特別入試:13名
緊急医師確保修学資金貸与制度
・入学時:28.2万円(県内生)、80.2万円(県外生)
・在学中:月額20万円
和歌山県立医科大学医学部 公立 地域医療枠:10名
県民医療枠:20名
和歌山県地域医療医師確保修学資金(地域枠医療枠のみ)
・自宅外通学:月額15万円
・自宅通学:月額10万円

中国・四国地区

大学名 区分 地域枠募集定員 貸与額
鳥取大学医学部 国立 鳥取県地域枠(推薦):5名
特別養成枠(推薦):5名
鳥取県地域枠(一般):14名
兵庫県地域枠(一般):2名
島根県地域枠(一般):5名
山口県地域枠(一般):1名
(1)鳥取県医師養成確保奨学金
・月額12万円
(2)緊急医師養成確保対策奨学金(特別養成枠)
・月額15万円
(3)一般入試の地域枠は各県の奨学金制度を確認
島根大学医学部 国立 島根県内定着枠(一般):7名
緊急医師確保対策枠(推薦):5名以内
(1)島根県医学生地域医療奨学金
・入学金相当額:28.2万円
・月額10万円
(2)緊急医師確保対策枠奨学金
・入学金相当額:28.2万円
・授業料相当額53.58万円
・月額10万円
川崎医科大学医学部 私立 静岡県枠:5名
長崎県枠:5名
中国四国枠:約15名
岡山県地域枠:約5名
(1)静岡県医学修学研修資金
・年額240万円
(2)長崎県医学修学資金
・1年次:約174万円
・2年次:約143万円
・3~6年次:約163万円
岡山大学医学部 国立 岡山県地域枠:7名
鳥取県地域枠:1名
広島県地域枠:2名
兵庫県地域枠:2名
(1)岡山県
・年額240万円
(2)鳥取県
・年額180万円
(3)広島県
・年額240万円
(4)兵庫県
・1年次:約24万円
・2~6年次:約18万円
広島大学医学部 国立 広島県コース:18名
岡山県コース:2名
月額20万円
山口大学医学部 国立 地域枠:15名以内
特別枠:15名以内
(1)地域枠:なし
(2)特別枠
・緊急医師確保対策枠:月額20万円
・地域医療再生枠:月額15万円
徳島大学医学部 国立 地域枠:17名(うち特別枠を最大12名) 特別枠
・入学金:28.2万円
・授業料:53.58万円
・奨学金:月額10万円
香川大学医学部 国立 地域枠(推薦):10名程度
県民医療推進枠(推薦):5名
地域医療推進枠(一般):9名
月額12万円
愛媛大学医学部 国立 愛媛県地域枠:20名 入学金:28.2万円
授業料:53.58万円
奨学金:月額10万円
高知大学医学部 国立 地域枠(一般):10名
四国・瀬戸内地域枠(推薦):15名
修学貸付金:月額15万円
特定科目加算貸付金:月額8万円

九州地区

大学名 区分 地域枠募集定員 貸与額
久留米大学医学部 私立 地域枠推薦:15名
福岡県特別枠:5名
福岡県特別枠
・月額10万円
佐賀大学医学部 国立 佐賀県推薦枠:2名
佐賀県枠(一般):23名
長崎県枠(一般):1名
1年次:151万円
2年次以降:122.8万円
※佐賀県推薦枠での入学者を優先的に貸与
長崎大学医学部 国立 地域医療枠:15名
地域医療特別枠:8名
佐賀県枠:2名
宮崎県枠:2名
地域医療特別枠
・入学金:28.2万円
・授業料:53.58万円
・生活費:月額8.4万円
・図書購入費(3年以上):年額20万円
熊本大学医学部 国立 地域枠:5名以内 入学金:28.2万円
授業料:53.58万円
生活費:月額7.5万円
大分大学医学部 国立 地域枠:13名 入学金および授業料に相当する額
修学支援金:月額5万円
宮崎大学医学部 国立 地域枠:10名
地域特別枠:10名
地域特別枠
・入学金:28.2万円
・月額10万円
鹿児島大学医学部 国立 地域枠:17名 総額940万円
琉球大学医学部 国立 地域枠:14名
離島・北部枠:3名
総額642万円

参考:公益社団法人地域医療振興協会「へき地ネット」http://www.hekichi.net/

医学部地域枠の在り方が賛否両論になる理由


医学部の高額な学費を自治体が肩代わりしてくれる医学部の地域枠制度ですが、制度自体には否定的な意見もあります。

これは、経済的メリットが先行してしまい、卒業後の実際の進路で現実に直面し途中で辞めてしまう医師もいるからです。

地域枠入試で合格した場合、卒業後は一般的に貸与期間の1.5倍程度の9年間を医師として指定された医療機関で働く必要があります。

この場合、医学部生活は6年間なので9年間働けば、奨学金の返済が免除ということです。

しかし、9年という期間は長く、医師としてのキャリア形成としては重要な期間であり、そこにキャリア形成で制限が出てくるなど問題もあります

そこで、医学部の地域枠で入学する場合のデメリットや問題にもふれておこうと思います。

医学部を地域枠で入学するデメリット

へき地医療は最新の医療設備がないケースも多い

へき地医療の場合は十分な診察設備が備わっていないケースも多いです。

高度な設備に頼らず、患者を処置できるスキルや柔軟性など身につくことができる一方で、最新の医療技術などを経験できないデメリットもあります。

したがって、20代や30代の重要なキャリア形成の時期に、日々進化する最新の医療に携われないことに葛藤を抱く医師は多いようです

指定期間未満で退職した場合は利子上乗せで返済義務が生じる

貸与された奨学金を返済すれば、地域枠で入学したとしてもその後の進路は自由に選ぶことが可能です。

ただし、返済する場合は一括であり、なおかつ利子10%ほど上乗せされてしまいます。

よほど裕福な家庭でないと一括返済は難しいですが、地域枠は一般入試よりも倍率が低く、難易度が下がるケースもあるため、卒業後は返済を前提に受験してくる富裕層の受験生がいるのも事実です。

しかし、近年は次で紹介するように卒業後に地域枠から「足抜け」しないよう対策が設けられています。

地域枠医学生の枠外採用はタブー

医学部卒業後は初期臨床研修を2年受ける必要がありますが、地域枠の学生は研修先の病院も地域内で実施しなければなりません。

しかし、実態として奨学金を返済して他の地域で臨床研修を受けていた医学生が続出しました。

奨学金を返済したら自由に進路が選択できるなら、地域枠制度の根幹が崩れるという批判が相次ぐことになります。

また、医師側も専門医の認定が受けられないなど離脱防止策が進んでいます。

これを踏まえ厚生労働省は、地域枠からの離脱を防ぐべく、「卒業予定の地域枠リスト」を作成。

そして、正当な理由なく地域枠から足抜けした学生を採用した臨床研修医病院については補助金を減額するペナルティを設けました

さらに、上記の補助金減額に加え、医学部募集定員の減員または臨床研修病院の指定取り消しなど、より強い措置が医師需給分科会で今後検討予定となっています。

また、医師側も日本専門医機構の専門医の認定が受けられないなど離脱防止策の協議が進んでいます。

これによって、地域枠で医学部に入学した学生は、ますます離脱が困難となっています。

こんな受験生におすすめ


色々とデメリットもある医学部の地域枠ですが、どんな受験生におすすめなのでしょうか。

ここでは地域枠入試で受験するべきおすすめの人を紹介していきます。

学費の支払いが困難で医学部へ進学できない人

医学部へ進学したいけど、経済的に学費の支払いが困難な家庭もあります。

地域枠なら学費相当分の奨学金が貸与され、卒業後に一定期間医師として働けば返済免除。

地域枠の制度がなければ医師になることができなかったかもしれないので、医師として働けるなら働く地域や環境は度外視という人もいると思います。

地元で医師として貢献したい人

医師を目指す目的や志望理由が、地元の社会に貢献したい強く思える人は地域枠がおすすめ。

地域枠は地元で医師を定着させるために作られた入試制度だからです。

地元の医療機関で地域に根差した医療の在り方をしっかりと学びながら医師として成長していきます。

特に地域医療やへき地医療に興味がある受験生はなおさらです。

まとめ

地域枠は、医学部へ入学する前に卒業後の進路まで決めてしまう点がよく問題視されています。

医学部に入学して色々学んだり、体験したりすることで、やりたいことが見つかることはよくあることです。

高校生やまだ若い受験生に、将来の医療社会や医療技術を見据えて決断させるのは酷だと思う人もいるでしょう。

しかし、地域枠制度によって、医学部への進学が実現できた人がいることも事実です。

なかには、地元に貢献したい、へき地医療に従事したいと純粋に希望する医学部受験生もいます。

したがって、卒業後の進路を後悔しないよう、経済面だけでなく将来の自分の進路も見据えて地域枠で受験するか決めることが重要です。

 
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