医学部は、様々な入試方法で大学入試を行っています。
一般選抜試験はもちろん、推薦入試や共通テスト利用入試などもそのうちの一つ。
国公立大学私立大学共に、一般選抜試験よりも早い日程でかつ少ない科目と求められる学力・難易度が比較的高くないこともあり、医学部志望にとってはぜひ利用したい入試方法の一つです。
今回はその推薦入試について、詳しく説明していきたいと思います。
推薦入試の種類
私たちが一般的に言う推薦入試とは、学校推薦型選抜と総合型選抜とがあります。
これらは2021年度に大きく名前が変わり、現在の区分では、従来の推薦入試にあたるのが学校推薦型選抜、従来のAO入試にあたるものが総合選抜型入試と言われているわけです。
これら2つの入試方法の他にも、各大学ごとに設けている入試方法で、これらの枠に当てはまらないものも多数ありますので、後程まとめて紹介します。
まずは全国の医学部で共通の学校推薦型選抜と総合選抜型についてご紹介します。
学校推薦型選抜
学校推薦型には、指定校推薦、公募推薦、さらに地域枠推薦とがあります。
11月頃から出願が開始され、12月~1月には入試と合格発表が行われている医学部がほとんどです。
学校推薦型選抜には一般入試よりも以下のような様々な条件が必要になります。
学校推薦型選抜の募集要項
学業、成績
基本的に、調査書の評定がAもしくは4.3以上と記載している医学部がほとんどです。
英検や英語の成績、TOEICなどの条件が必要になってくる大学もあります。
学校長推薦状
一般選抜試験とは違い、学校推薦型ではすべての医学部で推薦状が必要になります。
決まった書類が必要の場合もありますので、早めに準備しましょう。
年齢
「〇〇年度以降卒業見込み」との条件の記載が必ず大学ごとにありますので、募集要項をチェックしましょう。
現役生が対象となるものが多いですが、浪人2年までなら可といった大学も少なくありません。
課外活動
必須としている大学は特にありませんが、部活動やボランティア、留学や受賞経験などがあると、推薦入試ではプラスに働くことが多いです。
地域の条件
これは地域枠での受験の時のみ必要ですが、「〇〇県の高校を卒業・卒業見込みの者」や、「〇〇県外の高校を卒業した者で保護者が〇〇県に居住している者」など、大学によってさまざまな条件があります。
学校推薦型選抜の入試方法
一概に学校推薦型といっても、その入試方法は様々で、共通テストを利用する大学や、書類を重視して選考を行う大学、さらに個別試験を実施している大学等もあります。
どの医学部にも共通しているのは面接試験。
個人面接であったり集団討論であったりと様々なので、対策はしっかりとしなくてはいけません。
小論文を設けている大学もありますし、一般選抜よりも準備するべきことがたくさんありますね。
指定校推薦
先ほど3つあると紹介した学校推薦型選抜ですが、まずは指定校推薦について説明しましょう。
指定校推薦は、各高校ごとに大学から人数が指定されていて、指定された人数の生徒が出願をすることができる仕組みの推薦方法です。
選ばれる生徒は各高校ごとに選抜方法が違うので一概には言えませんが、学校の成績や日ごろの生活態度などによって選抜されることがほとんどです。
医学部の指定校推薦枠は決して多くはありませんが、校内の選抜で選ばれれば高確率で合格をもらえる受験方法です。
さらに、実際に合格して入学した学生は出身高校の顔となるため、医学部入学後も模範となるような生活態度をとることが求められます。
公募推薦
公募推薦は指定校推薦と違い、出身高校に限らず出願できる推薦入試です。
高校の選定基準と各国公立私立大学の募集要項に記載されている要件の両方を満たしていれば出願することができます。
成績をもとに選抜を行う医学部もあれば、大学側が求める理想の生徒像に基づいた面接試験や小論文試験を行う医学部もあります。
公募推薦の特徴としては、出願を行っても合格する可能性が指定校推薦に比べて難しいため、他の受験生に勝つために、課外活動をしっかりと行い、さらに英検やTOEIC、TOEFLといった英語の外部試験の成績を取っておくことが大変有利に働きます。
さらに、科学オリンピックでの入賞などといった経験があるとより良いでしょう。
公募推薦は、学校の成績はもちろんのこと、課外活動なども必要になってくるため、同時に一般入試の勉強もあることを考えれば、決して難易度が低い入試方法ではないのですね。
地域枠推薦
地域枠推薦はその名前の通り、限られた地域からのみ出願が可能な推薦入試です。
特に地方の国公立大学に多くみられる推薦入試ですが、実は都内の私立大学医学部においても設けられています。
各国公立私立大学のある都道府県に限らず、付近の都道府県からも出願が可能な場合もあり、さらに、本人がその地域に居住していなくても、保護者の居住などが対象になることもあるため、各大学の募集要項をしっかりと確認することが必要です。
地域枠推薦では、大学入学後から大学在学中に給付金を一定額もらえ、その給付金の返金を免除する代わりとして卒後数年間その都道府県の定めた病院で働くことが義務付けられます。
何年働く必要があるかは各大学ごとに様々で、さらに、どの診療科に進むか等も定められてしまう医学部もあります。
一般選抜入試やほかの推薦入試と比較して、求められる共通テスト等のボーダーが低めに設定されていることが多いですが、入学には注意が必要です。
総合型選抜
ここまでは学校推薦型選抜について説明してきましたが、ここからはもう一つの推薦入試、旧AO入試である総合型選抜について説明を行います。
総合型選抜は、学校推薦型と異なり、自己推薦で出願を行います。
そのため、高校からの推薦状は不要です。
出願期間は9月頃からととても早いですが、共通テストの結果を利用する大学もあるために、発表は2月頃の医学部も多くあり、一般選抜の勉強との両立を考える必要がある推薦入試です。
各大学ごとに選抜方法は異なりますが、ほとんどの大学で、評定等の調査書、面接、小論文をもとに選抜が行われます。
比較的新しく導入された試験方法で、実施している医学部は他の推薦入試に比べて少ないです。
面接や小論文で合否が決定されますので、アドミッションポリシーをしっかりと確認した面接の練習を塾や高校で行うのはもちろんのこと、小論文の書き方等をしっかりと学んでから受験しましょう。
一般選抜との併願は可能ですが、合格した場合は他の国公立大学には入学許可されませんので、注意してください。
学校推薦型選抜の公募推薦に近いイメージの試験ですが、地域枠を設けている大学もあります。
特別な推薦入試を行っている国公立大学医学部一覧
上に紹介した、学校推薦型や総合型に当てはまるものであっても当てはまらないものであっても、特別な推薦入試を設けている国公立大学・私立大学がありますので一部紹介します。
旭川医科大学医学部【国際医療人特別選抜】
定員は5名で、出願期間は9月10月ですが、合格発表は2月と遅めの入試です。
1浪まで出願可能であり、出願条件として評定4.3以上、選抜方法は課題論文、個人面接、大学入学共通テストとなっています。
将来、国際医療に貢献する強い意欲のある者を選抜することを目的とした推薦入試です。
東北大学医学部【国際バカロレア】【帰国生徒入試】
医学部に限らず国際力に力を入れている東北大学ですが、国際バカロレア入試と帰国生徒入試という入試方法を行っています。
定員は、2つの選抜方法を合わせて3名。
出願は10月で、合格発表は11月であるため、非常にスピーディーな選抜方法です。
選抜方法として出願書類、筆記試験、面接があげられています。
国際バカロレアや帰国子女の条件を満たす人は、ぜひチャレンジしてみてください。
筑波大学医学群【研究型人材入試】
出願は8月とはやいですが、最終合格発表は2月ととても遅い入試です。
医学部のなかでも特に将来研究を行う人材を選抜することを目的とした推薦入試です。
定員は若干名とされていて、出願条件として募集要項には「高校在学期間中に日本学生科学賞・高校生科学技術チャレンジ・「科学の芽」賞・国際科学オリンピック・科学の甲子園等優れた理系の研究を行ったもの、英語資格検定試験を受験しているもの」との記載があります。
- 1次選考:書類審査
- 2次選考:適性試験、面接
- 3次選考:大学入学共通テスト
と厳しい選考方法を行います。
筑波大学ではほかにも、国際バカロレアや海外教育プログラム等といった特殊な推薦入試も設けられています。
島根大学医学部【緊急医師確保枠学校推薦型選抜】
「地域医療に対するより一層高い意欲と強い使命感を涵養し、地域医療に貢献できる能力の発展向上を目指します」と募集要項に記載のある選抜入試です。
毎年定員や入試日は変わるようですが、2021年度の募集要項に記載されている情報によりますと、定員は一般枠で4名、島根県地域枠で5名以内とのことです。
大学入学共通テストの利用の他、推薦状と調査書の評価、さらに面接と小論文の試験が課されています。
特別な推薦入試を行っている私立大学医学部一覧
埼玉医科大学医学部【帰国生選抜】
やはり、特別な入試として帰国生、国際バカロレア資格を設定する私立大学医学部は多いようです。
こちらの入試の出願資格は、2022年の募集要項によると、「2020年4月〜2022年3月までに国際バカロレア資格を授与される者」です。
試験はいかの通り。
- 適性検査I:(数学IAIIB 、理科2科目、英語)
- 適性検査II:小論文(和文)
- 面接
数学が2Bまでなのが特徴的ですね。
1浪まで出願可能です。
関西医科大学医学部【特色選抜試験】
令和4年度の募集要項によると、「併願制、CEFR B2以上または国際バカロレア資格を令和3年4月1日から令和4年3月31日までに授与された者または授与される見込みの者で、令和4年3月31日までに18歳に達する者」とのことです。
1浪まで出願可能です。
2次試験まであるものの、出願は11月で最終合格発表が12月となっています。
まとめ
ここまで、各国公立大学医学部私立大学医学部の推薦入試について説明してきました。
基本的に一般選抜入試よりも求められる学力や共通テスト等の得点が低めに設定されている分、出願が可能な条件が厳しく、面接や小論文、提出書類などを入念に準備する必要があるため、決して難易度が低い選抜方法ではないことが分かりました。
しかし、各大学医学部でそれぞれの選抜方法を行っており、条件が合えば医学部合格により近づくことができます。
医学部志望者はぜひ一度様々な医学部の募集要項を確認し、一般選抜と並行して利用してみてはいかがでしょうか。
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ウインダムの公式サイトです。
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