近年は、医学部受験ブームが過熱しており、優秀な受験生は東大よりも地方国立大学を志望する傾向にあります。
特に進学校に在籍するエリート層の医学部志願が強く、国公立大学や有名私立大学の医学部医学科では東大の偏差値を上回る難易度を誇っています。
つまり、優秀な学生ほど医学部を目指すという流れが起きているのです。
理由は様々なですが、リーマンショックによる先行き不透明な経済社会や、大企業でも倒産や、企業買収によるリストラなど予測不可能な事態が起きうる時代になっていることが医学部を目指す風潮を後押されていると考えられています。
医師は安定した地位と報酬が得られるため、就職に困ることはないというイメージが強く、安定志向の現代の若者にとっては、医者と言う職業が非常に魅力的に映っています。
優秀な人が多く医学部を目指すことから、全体的な医学部受験の難易度が底上げされており、昔なら偏差値50台で合格できたような私立大学医学部も今では最低でも偏差値60以上が要求されています。
医学部受験の合格率は?
医学部受験は、近年は医師不足解消のために新規の医学部設置や地域枠の設置などによって定員数が増えているにもかかわらず、志願者が増加しているため合格率は決して高くはありません。
上記で述べたように医学部受験ブームにより、2000年代では志願者が9万人だったものの、近年は少子化と叫ばれているのに13万人程度にまで4万人も増えています。
国公立大学医学部前期の場合、約5倍程度で推移していますが、私立の場合は人気の高い医学部なら志願者倍率は30倍~50倍のところもあります。
そのため、医学部受験の合格率は平均するとたった約7%しかないと言われています。
これは、下記の表を見ても分かるように多くのいくつかの難関国家試験よりも低い合格率となっています。
もちろん、資格試験によって受験者層も異なってくるので、医学部受験と容易に比較することは困難ですが、何年もかけて合格を勝ち取る点では同じと言えます。
難関国家試験合格率
資格名 | 合格率 |
---|---|
司法書士 | 3.5% |
司法試験(予備試験) | 3.8% |
社会保険労務士 | 6.3% |
弁理士 | 7.2% |
国家総合職 | 10.9% |
公認会計士 | 11.1% |
人気の後押しは私立の学費値下げも影響
エリート受験生の安定志向の高まりから医学部人気の増加につながったことも要因の1つですが、私立大学医学部の相次ぐ学費値下げも大きな要因と言われています。
私立大学医学部と言えば、高額な学費が必要になるため受験者層は医者家庭か資産家と言った富裕層に限られていました。
それが、国公立を目指す優秀な受験者を囲い込もうと大きく学費を値下げた私立大学医学部が増加し、サラリーマン家庭でも通わせることが可能になりました。
これにより、国公立医学部一本だった受験生が併願で私立を狙ったり、他の理系学部から医学部へ志願者が流入したりすることで、受験者数が大幅に増えて合格率を下げる結果となっています。
ちなみに私立大学医学部は、もともと慶應・慈恵・日医が御三家と言われていましたが、学費の値下げにより偏差値が大幅に上昇した順天・昭和・東邦が「新・御三家」と呼ばれるほど中堅レベルから上位医学部へと上り詰めています。
募集定員の増加も合格率低下の要因
志願者が増えて医学部合格率が下がった要因としては、医学部の募集定員増加も影響していると言われています。
医師不足が叫ばれたことで国が募集定員増加に動き出し、2007年まで約7600名ほどだった定員は、「緊急医師確保対策」により右肩上がりで増加していき、平成27年には9420名まで増えています。
ちょうど2年後にはリーマンショックが起こり、内定切りなど取り上げられるなど就職氷河期の時代を迎え、安定している医師という職業がますます魅力となりました。
募集定員が増えると、合格の可能性が増えると医学部受験に挑戦する人が増加し競争率が激化することで合格率低下の結果を招く一因となっています。
医学部募集定員の推移
2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 |
---|---|---|---|---|---|
7625 | 7793 | 8486 | 8923 | 9041 | 9069 |
2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 |
9134 | 9262 | 9420 | 9419 | 9420 | 9419 |
代官山MEDICALの公式サイトです。
https://www.daikanyama1999.com/
ウインダムの公式サイトです。
https://windom.jp/