人体の構造を知るうえで必要不可欠な医学部の解剖実習について授業内容や目的など紹介していきます。

医学部の解剖実習ってどんな授業なの?

医学部の基礎知識

医学部の解剖実習ってどんな授業なの?
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解剖には病理解剖・法医解剖・系統解剖の3種類がありますが、医学部で行うのは系統解剖のことです。
医学部の解剖学は覚えることは大量なうえ、ご遺体を使い人体の構造を知る実習が辛い・無理と感じて医学部を休学・退学してしまう人も中にはいます。
医師として絶対に通る道である医学部の解剖学はどんなことを学ぶのか。ここでは紹介していきたいと思います。

解剖学の概要と紹介

解剖学を学んでいる風景

解剖学を学んでいる風景


解剖学とは、身体の形状や構造を知るための学問です。

対象は動物を用いることもありますが、医学部の場合はヒトを用いた「人体解剖学」のことを言い、肉眼解剖学と呼ばれたりもします。

では、医学部で実施される解剖学について詳しく確認していきましょう。

基礎医学の1つ

医学部で履修する解剖学は基礎医学の1つであり必須科目

学年で言うと大学1年生または2年生から勉強することになります。

献体として医学部へ寄付されたご遺体を対象に学んでいくため、怖い・苦手あるいは臓器や血を見ることから嘔吐や気絶してしまう学生もいると耳にしたことがあるかもしれません。

しかし、これから医師として人の病気やケガを治療するために人間の構造(どこに何があるか)を知っておくことは必要不可欠であり、ヒトの身体を使って学べることは非常に有難いことなのです。

解剖学を学ぶことで、組織学や生理学へとその他の科目へ発展していくことができます。

医学部の中でも解剖学実習は非常に重要な科目と言えるので、献体として提供して頂いたご遺体に敬意を表し、真剣に学習していきましょう。

解剖実習の目的や意義

解剖学実習では、骨・筋肉・内臓・神経などのそれぞれの名称や場所を細かく知るだけでなく、それぞれの組織や器官がどういった機能や働きを行うかも勉強していきます。

医師になって具合が悪い患者さんを診るときに、どこの機能にどんな異変があるかを理解できるようになります。

そのため、学年が上がるにつれて臨床を意識しながら、人体の立体構造や臓器や組織の関係を学び、図示や説明ができるよう学習していきます。

最後に、ご遺体の解剖を通じて生命の尊厳や敬意など医療人として必要な倫理観を養成していくことも解剖学の重要な役割となります。

解剖学は進級が難しい?

医学部の場合、留年する学生は少なくないですが、中でも解剖学で進級を逃してしまう学生は意外と多いかもしれません。

まず、医学部の解剖学は講義と実習がセットで授業が構成されており、教科書やテキストを使って学ぶ座学と、献体で実際に人間の期間や部位を学ぶ実践形式の2本柱で人体の構造を深く学んでいくことになります。

とにかく暗記の量が膨大であり、人体構造の隅々まで名称を覚えていく必要があり、医学部によっては日本語以外に英語やラテン語でも暗記が要求されることもあります。

また、人体解剖の実習はとにかくハードで、時間も要するため体力的にも非常に厳しいです。

ご遺体を使って人体の構造に触れられるのは非常に貴重な体験と学べる事が多いことから、医学部では重要性の高い科目と位置付けていることが多く、そのためテストや進級のハードルも自ずと高くなっています

医学部の人体解剖実習の内容

解剖学の授業風景

解剖学の授業風景


医学部では、実際どのように人体解剖学実習が実施されるのか。

ここでは医学部で実施される解剖学の人体解剖実習の主な流れについて紹介していきます。

人体解剖実習の手順や進め方

まず、少人数のグループ(4名程度)に分かれて、献体の周囲を囲み、解剖前に起立・黙とうから始まります。

そして、一礼を行い解剖を始めていくのですが、防腐処理がされている献体はホルマリンの臭いがきついですが、馴れてくる人も多いです。

また、防腐処理された献体は凝縮して硬くなっているので最初はメスを入れるのも大変。

メスの使い方および実践は解剖実習で初めて学ぶことになります

実習は「顎と上肢」「胸と腹」「下肢と骨盤」「頭」と4つに区切られ、また大学によっても異なりますが、合計30回ほどの実習を、それぞれ先生の指導及び解剖手順書に従って進めていきます。

全ての実習が終わると、解剖室の清掃および解剖されたご遺体を今度は棺の中に学生自ら納めていきます

最後に棺の上に献体の名前を先生が読み上げて札を置き、この時、学生は初めて献体の名前を知ることになります。

最後は黙とうを捧げ、解剖実習は終了です。

医学部の授業で使うご献体(ご遺体)ってどうやって集められるの?

医学部の解剖学実習で用いられる献体は全て個人の好意により寄付されたご遺体

死後、自分の遺体を解剖実習に寄付するこの制度には、2017年度で登録者数は28万人にも及ぶそうです。

基本的に医学部を持つ大学ごとにご献体の募集が実施されており、生前に登録する必要があります。

ご遺体は、腐敗を防ぐために血管からホルマリンを注入されますが、実習前にはアルコール処理が施されホルマリンを取り除き、凝縮した身体をある程度和らげます。

また、神経解剖実習のために脳は防腐処理の段階で摘出で摘出。

防腐処理には、3ヶ月から6ヶ月くらい要し、その後は保管され、解剖実習に利用されることになります。

医学部解剖実習のその後

黙とうを描写
医学部の解剖実習は黙とうを捧げ、終了します。

防腐処理に3ヶ月から6ヶ月くらい要し、その後は保管、解剖実習、火葬などが実施されるため、親族へ遺骨が返還されるまでは約2年かかると言われています。

最後は医学部生も参加する遺骨返還式

解剖実習が終了した献体は後日火葬されますが、その際に行われる遺骨返還式にはご遺族や先生、そして医学部の学生も参列します。

医学部での解剖実習は黙とうに始まり黙とうに終わり、遺骨返還式に参列して最後までご遺体に敬意を表すことは、医師としての生命の価値観や倫理感を養うだけでなく、医学の発展に寄与してくれるため献体を申し出くれた故人に最大限に敬意を表するとともに医師としての自覚や責任感を芽生えさせるのです。

まとめ:献体の協力があってこそ成り立つ貴重な実習

以上のように医学部の解剖実習は、個人の好意によって献体として寄付されて成り立つものです。

実際の人体を扱い、構造や仕組み並びに、各部位を確認しながら学んでいくことは、これから医師になるために必要不可欠であり、また貴重な体験となります。

解剖実習が苦手な医学部生は多いですが、当たり前にできることではなく、敬意を表しながら実習に参加してもらうことを望みます。

 
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