これまで面接を課していなかった九州大学医学部がついに2020年の試験から面接を導入しました。
これにより、全ての国公立大学医学部医学科において、面接試験が行われることになりました。
国公立大学を目指す医学部受験生にとっては、共通テストと2次試験対策に加えて面接の対策も必要であり、いかに効率的に対策を図るかが重要になります。
このコラムでは、国公立大学医学部医学科を志す受験生に向けて、面接対策に有用な情報をお届けします。
国公立大学医学部医学科の面接試験の特徴
前述の通り、国公立大学医学部医学科の全てが入試に面接を課しています。
学士編入試験でももちろん、面接は行われます。
ここでは簡単に、医学部受験における面接の特徴をご紹介します。
医学部受験における面接の形式
面接と聞くと、一般的には面接官数名に対して受験生1人という個人面接を思い浮かべます。
しかし、医学部受験における面接は多様です。
受験生複数人を同時に面接する集団面接という形式もあり、その人数も大学によって様々です。
また、集団討論や課題についてのプレゼンテーションを課す医学部もあります。
志望大学の面接形式は必ず確認しておきましょう。
医学部受験における面接の評価方法
各大学の募集要項には、面接に関して重要視する点や試験全体における面接試験の配点などが記載されています。
加えて、どんな学生を求めているかを示した「アドミッションポリシー」も必ず確認しておきましょう。
面接自体の評価方法は公開していない大学がほとんどです。
事前に定められた評価項目ごとに点数がつけられる場合や、面接官同士で協議して点数が決定されているなどの評価方法があるとされています。
よくある質問とその対策方法10選
ここでは、国公立大学医学部医学科の面接試験において、よくある質問とその対策のポイントを10個に厳選して、ご紹介します。
質問の意図を汲み、考えて答える
面接に対する回答を準備する際に重要なことが、「質問の意図を汲む」です。
質問の意図を考えずにトンチンカンな回答をしてしまわないように心がけてください。
1.医学部を志望した理由は?
医学部志望理由は必ずと言っていいほど聞かれます。
すでに出願の際に志望動機を記入している場合もあるので、その内容と大きな相違がないようにしましょう。
この質問は、この後の「どうしてこの大学を選んだのか」の質問とは違います。
なぜ他の学部ではなく、医学部にしたのか。それが質問の意図です。
「医師の志望動機」とほぼ同義とも言えるため、この意図に適した回答を用意しましょう。
2.どうしてこの大学を選んだのですか?
これは、「その大学自体の志望動機」を問われているのであって、「医学部の志望動機」ではありません。
数ある医学部の中で、なぜこの大学がいいのか、その理由を伝える回答を心がけましょう。
そのためにも、志望する大学医学部の特徴はホームページやパンフレット、可能ならばその医学部の在学生から聞けると良いです。
他大学医学部でも行っているような試みなどを取り上げるのではなく、その大学の医学部にしかない特徴的な部分に言及できると、数ある医学部受験生の中でも印象を残すことができます。
3.医師を志したきっかけは?
あなたがなぜ医師という職業を選んだのか、その「きっかけ」を問われています。
エピソードを話すことになるので、正直に答えるのが無難です。
「こんな出来事があったから」など、特徴的なことを話せばいいというものでは無く、きっかけはどんな事でも全く問題ありません。
「きっかけ」だけでなく、そこから医学部受験に至るまで、どのような考えを持って医師を志すようになったのか、意志が固まったのか、その経過を簡潔にまとめて話すことが求められています。
4.あなたの性格について、長所と短所は?
これに対する回答は、ある意味、自己紹介みたいなものです。
また、あなたが正しく自己分析できているかを判断できる質問でもあります。
長所と短所それぞれについて、最低2つは用意すると良いでしょう。
また、ただ淡々と伝えるのではなく、それに関するエピソードも用意してください。
長所については、それが医学部生活や医師人生の中でどのように活かされるのかまで簡潔に言及しましょう。
短所について話す際は、「〇〇が短所です」とマイナスイメージで回答を終えるのではなく、心がけていることを付け足すなど、好印象で終えられるように工夫が必要です。
5.尊敬する人物は?
この質問からもまた、あなたの人間性・倫理観・特徴を知ることができます。
親や友人、先生や先輩、著名人でも誰でも構いません。
あなたが、自信を持って「〇〇だから尊敬しています」と理由まで話せる人物にしましょう。
その尊敬する理由が、あなたの「理想とする医師像」を反映しているとも言えます。
6.高校3年間の1番の思い出は?
志望動機やあなた自身を知る質問の他に、これまでのあなたを知るための質問もされることでしょう。
純粋にあなたが「一番」と考える思い出を伝えましょう。
もちろん、その理由も重要となります。
可能であれば、「こういうことをした」「こんな困難を乗り越えた」など、自己PRにつながるような内容にできると良いです。
7.部活動を通して学んだことは?
この質問への回答から、集団におけるあなたを知ることができます。
個人競技や文化部であっても、同じ部活に所属する部員との集団での活動です。
その中であなたがどんな経験をすることができたのかを聞かれています。
部活に所属していなかった人は、アルバイトやボランティア活動などでの経験を話してもよいでしょう。
「チーム医療」という考え方が普及している現在、集団においてあなたがどのように行動できるのかは面接官の知りたいことでもあります。
しっかりと自己アピールできるように準備しましょう。
8.大学に入ってやりたいことは?
あなたの今後の意欲を伺う質問です。
この大学医学部に入って、どんなことに頑張るのか、どのように活躍するのかなど、その理由も含めて聞かれています。
勉学や部活、アルバイトなど回答はなんでも構いません。重要なのはその理由です。
医師となることを見据えて、医学部6年間でどんなことを頑張りたいのか、じっくり考えてみてください。
9.あなたの趣味は?
あなた自身を知ろうとする質問ですが、「医学部の膨大な勉強量、医師という過酷な職務の中で、ストレスを発散できるような趣味を持っているか」を問う質問だとも捉えられます。
面接は自己アピールの場ですから、当然「なし」という回答はNGです。
読書、音楽など、無理にユニークなものをと思い悩む必要もありません。
ただし、例えば読書であれば、「どんな本が好きなの?」などと、その先に展開されるであろう質問に対しても、回答を準備しておくことを忘れないでください。
10.最近気になった時事問題は?
この質問は、ニュースや新聞を見ているか、社会情勢に対して知識・関心があるか、などが問われています。
最近の話題でいえば、もっぱら「新型コロナ」でしょうか。
医学部受験生として、関心が少ないというのは悪印象です。
頻回にニュースで取り沙汰される話題はもちろん、ここで回答する内容については十分に調査し考察しておきましょう。
重要なのは、その話題についての「あなたの意見」を持つことです。
取り上げる話題は必ず医療分野でなくても構いませんので、なぜその話題が気になったのかという理由と、それに対する自身の考察を語れるものを選択しましょう。
しっかりとした対策で医学部合格を勝ち取る!
面接対策で重要となるのは、「準備」と「練習」。
ある程度の回答を準備したら、高校や予備校の先生、友人や家族に協力してもらい、たくさん面接練習をしましょう。
また、練習するときは質問の順番を変えて、ランダムに行うことも意識しましょう。
圧迫面接を行う大学もありますが、練習した分だけ、ハキハキと答えることができるようになります。
第一印象は重要! 服装など身だしなみに注意
部屋に入る瞬間から面接は始まっています。
服装や髪型などの身だしなみは直前まで注意しておきましょう。
服装については、現役生は制服、浪人生や再受験生はスーツで臨みましょう。
制服のボタンやリボン、スーツのネクタイをしっかり締めるなど、緊張すると気づかない人も多いようです。
髪型については、前髪は目にかからないように、整髪料は適切な範囲内で、髪の長い人は結うなど、基本的なことですが確認しておいてください。
医学部受験生としての心構え
入室の仕方や椅子の座り方、面接官への目線など、面接におけるマナーはいくつかあります。
ここでは簡潔に留めますが、必ず確認しておきましょう。
また、面接はとても緊張するものです。
想定外の質問をされた、用意していた回答を忘れてしまった、そんな時でも焦らず、自身を持って素の自分で勝負しましょう。
ポイントは、「笑顔」です。
緊張がすぎると顔が強張るものです。これではなかなか好印象を与えられません。
ぜひ、鏡に向かっての練習も行いましょう。
自身の表情などを確認することができ、自然な笑顔を癖づける事ができておすすめです。
多くの医学部受験生が面接でやりがちな失敗
面接の場では、「えーっと」「あー」など、日頃の会話でよく使うような感嘆詞はなるべく使わないようにしましょう。
質問をされたら、まずは「はい。」と返事をすることをおすすめします。
「はい。」と一言挟むことで一瞬の余裕を作る事ができ、ハキハキとした発言に繋げられます。
面接官にも、返事がしっかりしていいなあと好印象を与えることができます。
予備校の面接講座はどんな対策ができる?
面接対策は学科の勉強以上に自己流で行うことは難しいです。
医学部予備校ではどのような面接対策を行うのか、そして医学部予備校で面接講座を受けるメリットは何かを紹介いたします。
過去の入試データを基にした対策が行われる
合格実績豊富な医学部予備校は、学校推薦・総合選抜からも多くの合格者を輩出しているため、卒業生から小論や面接内容をリサーチし、それをもとにした対策授業を実施しています。
これを受講することで外部にあまり拡散されていない各大学ごとの面接内容の傾向を知ることができ、対処方法も学ぶことができるのです。
「医師を目指す理由」「大学志望理由」などありがちな内容もきかれますが、大学によっては「絵をみてどう思うか答える」というような思ってもみないような質問をされることもあります。
また、順天堂大学は賞状や写真などを面接に持参させています。どのような資料を持ち込むべきかも重要になるのです。
これらのことからも過去どのようなことを聞かれているのか知った上で臨むことは有利といえるでしょう。
圧迫面接などの耐性がつく
医学部入試面接の場合、試験官わざと威圧的な態度をとったり神経を逆なでするような言動を行う場合もあります。
厳しいところでは受験生の言葉に興味のない姿勢を示したり、徹底的に否定してくるところもあるようです。
これは受験生のストレス耐性やコミュニケーション能力、窮地に追い込まれたときの思考力・対処力を示しています。
医学部予備校ではこのような圧迫面接も予想した対策も行います。
理詰めにされたり、きつい態度をとられた経験が少ない受験生はある程度訓練し耐性をつけてから面接に臨むべきでしょう。
変化する面接の傾向を知り、対策が出来る
従来、医学部の面接試験の形式としては「個人面接」「集団面接」「集団討論」の3つの試験形式でした。
しかし、評価の仕方があいまいさや、面接結果と入学後の成績に相関性がないとの評価を受け、近年、あらたにMMIという面接形式が採用されるようになり、大学院の入試や医療職の採用試験に取り入れられ、日本の医学部入試では、東邦大学や藤田医科大学が東京慈恵会医科大学でも導入されています。
MMIは、まず規定のシチュエーションの書かれた文章を読み、その状況を自分がどう捉え、どのように対処するかを考えさせます。
与えられたテーマに内在する問題点を瞬時に整理・類型化し、価値対立を調整する能力があるか、普遍的な大きな枠組みで回答できているかを見られます。
MMIのような様式の場合は、一人で対策を行うのは難しいといえます。
面接の対策は一人では厳しいのが現実
上に述べたように医学部の面接は、一朝一夕には身につかない、思考力が求められることも多くなっています。
また、他人に自分の考えをわかりやすく伝えることは、頭では分かっていても模擬面接などで訓練を積まなければ上達しませんし、一人では自身の長所と短所を客観的にとらえることは難しいでしょう。
多くの医学部予備校では、通年で面接・集団討論の講座を設け自己表現力や思考力を強化する授業を行っています。
このように深く思考したり、自分の考えを表現する勉強は受験だけではなく医学部に入学後、社会にでてからも役に立つので是非早い段階で対策することをおすすめします。
まとめ
医学部の面接は大学によって大きく異なります。
帝京大学のようにあまり突っ込まれず、普通の対応ができているかを見る程度のところもありますが、藤田医科大学のようにMMIを取り入れてくるところなど様々です。
しかし、多くの大学医学部の教授は受験生に「完璧」を求めてはいません。
受験生が将来医者になったとき責任をもってはたらくことができる人材か、大学入学のためにどれだけ努力をしてきたかを知りたいだけです。
テンプレではなくしっかり自分の考えを臆することなく伝えられるよう対策してください。
面接で分からないことがでてくれば、素直にわからないと言っても構いません。
しかし、なるべく「分からない」ことが出てこないように早い段階から対策しましょう。
医学部面接の対策は受験だけではなく今後の医師としての人生においても糧になります。
自学習が難しい場合は学校の教師や医学部予備校などに相談し対策をしっかりしたうえで自信をもって試験に臨んでください。
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