「入学者選抜における公正確保等に係る調査」をもとに、医学部でどのような入試が実施されていのか紹介していきます。

医学部不正入試問題を受け文部科学省が公表している資料を解説

医学部の基礎知識

医学部医学科の「入学者選抜における公正確保等に係る調査」とは?
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一時、日本中で話題となった医学部医学科の不正問題。

年齢や性別に関係なく、誰にとっても公平であるはずの入学試験で、選抜方法に不正が発覚しました。

当時はニュースや新聞記事で大きく報道され、一般の、医学部とは関係のない方がその現状を知る機会となりましたが、医学部入試の差別は、実は昔から噂されていたこと。

再受験生や多浪生は合格しにくい。

女子は男子の受験生よりも良い点数を取る必要がある。

その一件以来、「入学者選抜における公正確保に係る調査」が緊急で行われ、結果が文部科学省のホームぺージで見られるようになりました。

もう差別は起こらないのでしょうか。もう起きていないのでしょうか。

今後の医学部入試はどのようになるのでしょうか。

2018年度医学部の入学者選抜で不正が発覚

2018年度医学部の入学者選抜で不正が発覚

東京医科大学の不正な合格と男女差別

この事件の発端は、2018年度に発覚した東京医科大学医学部の入試での不正合格。

文部科学省の前局長の息子を不正に合格させたというものでした。

そこから東京医科大学を捜査すると、さらに、平成18年から数十年にわたり男女差別を行っていたことが判明しました。

女子には入試の得点を減点したうえで、3浪までの男子には20点にも及ぶ入試の得点を加点するというものは、なんともひどいものでした。

東京医科大学では、特定の受験生を合格させる裏口入学に加え、女子差別、年齢差別など様々な不正が行われていたことから、これに関連する被害者受験者数はなんと2万人以上にも上るとされています。

その後、東京医科大学は記者会見を開き不正を認め、過去に得点調整により不合格となっていた101名を2019年度の入学者として認めると発表しましたが、批判が相次ぎました。

順天堂大学の女性・年齢差別

ここから次々と、他の大学の医学部入試で、得点操作が行われていたことが発覚します。

順天堂大学では、文部科学省の調査によると、男女の合格率の差が、全国の医学部を置く81大学で最も大きいという結果でした。

そしてやはり、不正が公になります。

順天堂大学は、非常に機械的な得点調整で、調査書の評価と男女の性別、さらに年齢により、現役で調査書の評価がAの男子受験生が大きく加点されるようなシステムが作られていました。

順天堂大学の言い分として、面接などが行われる2次試験では「女子が男子よりも精神的な成熟が早く、受験時はコミュニケーション能力も高い傾向にあるが、入学後はその差が解消されるため補正を行う必要がある」とし、女子受験生の得点を減点していたとのことでしたが、これも大きく批判を集めました。

女子学生たちによる訴訟が起こり、裁判の結果、過去に得点調整で不合格となった受験生たちには賠償金が支払われました。

その他多数の大学で不正が発覚

その他、昭和大学、神戸大学、岩手医科大学、金沢医科大学、福岡大学など、私立大学に限らず国公立大学でも、不正入学や得点調整が行われていたことが発表されました。

特定の受験生を入学させることや男女差別、年齢差別に加え、出身校や出身地域による差別など、大学によって差別の理由・方策は様々でした。

「入学者選抜における公正確保等に係る調査」とその結果

「入学者選抜における公正確保等に係る調査」とその結果

文部科学省がこの事態にすぐに対応

一連の事ニュースにより、東京医科大学が44人、順天堂大学が48人、日本大学が10人を追加合格とし、2019年春の入学を認めると発表しました。

追加合格を出す代わりに募集人員は削られ、2019年度の受験生に影響が及ぶことが予想されていましたが、すぐにこの事態に文部科学省が対応しました。

2019年度の医学部の入学定員を臨時で超過することが特例的に認められ、「教育環境が確保されることを条件に、不適切事案を認めた各大学の判断に基づき、募集人員の緩和を臨時的に認める」とされ、2019年度入試で定員を超過した人数分は、2020年~2024年度の最長5年かけて募集人数を削減し、分散させることで2019年度の受験生だけが不利益を被ることを避け、また、年度別の医師数には影響を与えないようにも配慮されました。

大学別の男女別合格率を公表

さらにここから、文部科学省により様々な調査が行われます。

2018年度より、男女別の合格率が調査され、公表されました。

大きく男女差のある大学について特に調査を進めましたが、正当な入試選抜を行っていると否定する大学もありました。

これ以降毎年行われていますが、多くの大学で、男女別の合格率で女子の合格率が数ポイント上昇しているのが確認できます。

最終評価を特集

最終的に、大学別に適切か不適切か、不適切だと疑われるかなどという評価が発表されました。

「最終まとめについて」のPDFを参照すると、どのような方法を用いてどのように調べ、どのように結論付けたのかが記載されています。

入学者選抜に関する学内規則・マニュアル等の整備状況についてや、各大学が入試選抜に必要な情報を受験生にきちんと提示できているかなど、大学として当たり前の内容までしっかりと調査が行われ、不適切と判断された大学についての記載があります。

改善状況まで発表

医学部医学科の入学者選抜における不適切な事案の自主的公表を受けた今後の対応状況等について、8回にわたり、文部科学省は公表。

どの大学が、どのような指摘を受けたうえで、どのサイトに、どのような形で記載をし直したのか。

例えば入試方式についてや、他にも選抜方法についてなど、大学によって様々ですが、すべての情報をまとめています。

今後の医学部入試はどうなる?

今後の医学部入試はどうなる?

合格者の受け入れ状況(年齢・性別情報)は毎年報告される?

男女別合格率や年齢別の合格者数などについて、文部科学省は今後少なくとも数年間は、まとめて結果としてホームページに記載するものと思われます。

医学部において公平な入試選抜がおこなわれるためにも、これからの受験生は安心のできる環境で、情報がオープンな中で入試に臨むことができると思います。

不適切な医学部は相応の処分あり

東京医科大学はこの不正問題により、USMLEの受験資格を得られる認証を取り消されました。

この資格は、一定の教育カリキュラムを行っていれば交付されるものであり、東京医科大学は以前は認められていました。

そのカリキュラムを満たしているのにも関わらず、大学による不正で認定が取り消されたとなると、全く関係のない学生、卒業生にも影響します。

さらには、国からの補助金の不交付が実施されました。

その他の大学でも、いくつかの大学で国からの補助金の減額が行われています。

2022年度「入学者選抜における公正確保に係る調査」まとめ

文部科学省では、直近に実施された令和四年度(2022年)の「入学者選抜における公正確保に係る調査」資料を公開しています。

緊急調査の最終結果を報告をした後も、男女別合格率については毎年資料を公開していますので、女子受験生は参考にすることをおすすめします。

簡単にまとめていますので、詳細は公式ホームページよりご確認ください。

区分 受験者数 合格者数 合格率
男性 女性 男性 女性 男性 女性
国立大学 9,186 5,828 3,046 1,744 33.20% 29.90%
公立大学 1,477 874 577 284 39.10% 32.50%
私立大学 51,066 35,556 5,135 3,494 10.10% 9.80%

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senbatsu/1409128.htm

まとめ

当時、ニュースや新聞記事で本当に世間で騒がれた医学部入試の不正・差別問題。

もちろん今でも、水面下では行われている可能性がありますが、それでも文科省の調査により、様々なことがオープンに入試が行われるようになりました。

他の記事で、確実に再受験生や女性に寛容なおすすめの医学部を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

負けるな女子受験生。負けるな再受験生。

 
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