なんとしてでも医学部大学入試に合格して医師になりたい。
そんな強い決意を持って受験に望んでも、必ずしも良い結果がついてくるという訳ではないでしょう。
しかし、それでも諦めない心、浪人してでも医師になりたいという決意があれば医学部に合格できる可能性はそう低いわけではありません。
ひとくちに浪人で医学部を目指すと言っても、全国には国公立・私立を合わせて医学部設置大学が82校もあります。
数多くの大学の中からどんな点を重視して、どのような基準の選び方をするかはそれぞれの受験生の置かれた状況によって異なってくるでしょうが、浪人時は現役時とはまた違った観点で大学を選ぶ必要が出てくるでしょう。
従って、本記事では浪人生が医学部設置大学を選ぶときに考慮すべきポイントや、多浪生向けのアドバイスを紹介していきたいと思います。
紹介する項目の中から情報を適宜取捨選択をして、後から後悔することがないような大学受験生活を送って貰えれば幸いです。
浪人生にとって入試に合格するために勉強することはもちろん重要なことではありますが、この機会に是非、どんな医学部を選んで受験をするかについてもしっかりと考えてみることをおすすめします。
浪人生の医学部合格は厳しい?
まず最初に、そもそも浪人生の医学部合格の難易度について簡単に説明していきたいと思います。
単刀直入に結論から言うと、浪人生の医学部合格は全く難しいことではありません。
医学部大学入試に合格することができずに浪人することは、今や医学部受験においては全く珍しいことではなくなってきています。
実際、大手予備校において「浪人生向け医学部合格コース」といったものが用意されていたりすることからも、医学部受験浪人生が数多く存在することが窺えます。
では実際に、どのようなポイントに注意して浪人生が大学を選んでいくべきかについて見ていきましょう。
その大学医学部が浪人生に寛容か否かの情報・データ
浪人生の医学部設置大学選びに最も重要となってくるのは、「浪人生に寛容なのかどうか」でしょう。
ここでは、特定の大学が浪人生に対して寛容なのか否かを判断する方法を2つほど紹介していきます。
浪人生の合格者の割合を調べる
これについては、各大学が年齢別の大学入学試験合格者割合のデータを公開していますので、そのデータを見れば簡単に調べることができます。
実際にどの程度浪人生を受け入れているかが数字的に表されているため分かりやすく、かつ信用度が高い情報ですから、是非調べてみましょう。
なお、このデータを見る際には18歳は現役生、19〜21歳は浪人生、22歳以上の受験生の多くは再受験生であるということを頭においておきましょう。
浪人生の皆さんが気にするべきは自分と同じ浪人生の19〜21歳の比率となっています。
また、浪人生に寛容であることと、再受験生に寛容であることは正の相関関係があると思われるので、再受験生の比率も参考程度に見ておくとより傾向をつかみやすくなるのではないでしょうか。
例えば、近畿地方の滋賀医科大学は再受験生に寛容な大学として有名となっています。
浪人生に厳しい大学というのは残念ながら存在していますが、このデータを見れば高い確率でそういった大学を回避することができます。
また、年齢別の合格者割合を公開していない大学もあるかと思いますが、公開していないのであればそれなりの事情がある可能性もありますのでその点も判断のポイントになってきます。
その大学の学生の話を聞く
「いったいそんなことをどうやったら聞けるの?」とお思いになるかもしれませんが、オープンキャンパス等の機会を活用すれば難しいことではありません。
その大学に通っている学生が案内や受付を行っていることもあるので、積極的に声をかけて浪人生がどれくらい通っているか等の情報を収集していきましょう。
インターネット上で掲載されている特定の医学部の口コミといったものも、参考になるでしょう。
また、ツイッター等のSNSを通じて、その大学に通っている学生にコンタクトをとるということも一つの方法として挙げられます。
ただし、SNS上では身分を偽ることはいくらでも可能ですから、あまり情報を信用しすぎず参考程度にするのが良いかと思われます。
大学の偏差値(河合塾等)
偏差値は特定の医学部の入試難易度を測るのに、最も簡便でかつ分かりやすい指標となっています。
河合塾を始めとする大学受験予備校はホームページ等で各大学の偏差値の一覧を掲載していますから、調べてみると良いでしょう。
予備校ごとに偏差値の算出基準が異なっていますから、偏差値を用いていくつかの医学部を比較する際には、特定の1つのサイトの偏差値一覧を参考に比較していくことがおすすめとなっています。
また、国公立大学医学部と私立大学医学部の偏差値を単純に比較することはあまり意味がないので、国公立大学医学部と私立大学医学部は分けて比較しましょう。
浪人生では入試合格に懸ける思いが非常に強いでしょうし、金銭的にもあとがないという方もいるでしょうから、現役生以上にこの偏差値をしっかりと見ておくことが重要です。
自分の実力に見合った入試を行っている医学部を選択して、現実的な大学選びをしてください。
医学部医師国家試験合格率
国家試験合格率は、その大学での教育の充実度を測る1つの基準となります。
医師国家試験合格率一覧を調べてみていただけると分かりますが、入試の偏差値と国家試験合格率にはあまり大きな相関はないようです。
従って、国家試験合格率は特定の大学での座学や臨床実習がどれほど精力的に行われているかを示しているといっても間違いではないでしょう。
さらに、浪人生では一年も無駄にしたくないために医師国家試験に一発合格したいという気持ちが強いでしょうから、医師国家試験合格率は殊更重要な指標となってくるのではないでしょうか。
ここで、国公立医学部と私立医学部のそれぞれの2022年(2021年度)医師国家試験合格率の上位3校をランキングで一覧形式でまとめておきます。
順位 | 国公立 | 私立 |
---|---|---|
1位 | 東京医科歯科大学 | 自治医科大学 |
2位 | 秋田大学 | 産業医科大学 |
3位 | 防衛医科大学 | 藤田医科大学 |
ただし、一部の私立大学では卒業試験の難易度が非常に高く、卒業試験に合格できなければ医師国家試験を受けることができないようです。
このことが原因で国家試験合格率が押し上げられている可能性もあるので、大学6年間ストレート進学率というのも一緒に見ておくことをおすすめします。
大学の学費関連
学費で行くことのできる大学が制限されるということは、学費の高い私立医学部においてはよく耳にします。
そこで、学費について国公立医学部と私立医学部で大まかに理解しておくことをおすすめします。
一般的に国立大学医学部では標準額といったものが規定されており、6年間でかかる学費が約350万円と言われています。
また公立大学医学部では、それぞれの大学や居住地によって変動はありますが、概ね国立大学と同程度の金額になります。
一方で、私立大学では国際医療福祉大学を除いて安くても総額2000万円以上ということになっています。
私立大学の中では学費が安いことで有名な順天堂大学ですら6年間にかかる学費は2,080万円と、国公立大学の5倍以上となっています。
従って、度重なる浪人に伴う予備校代や参考書代等で費用に余裕がないという場合には、私立大学ではなく国公立医学部入試に合格することを目標に受験勉強を進めていくと良いでしょう。
その他に考慮するべきおすすめポイント
次に、その他に医学部を選ぶ際に考えるべきポイントをいくつか紹介していきます。
- 自分の興味に沿った教育を受けることができるか
大学ごとに強い分野というのは異なってきますし、研究の分野では大学院等にもその分野のエキスパートとなる教授がいるでしょうから、その点も考慮すると良いでしょう。
また、法医学等の特殊な科目は深く学ぶことのできる大学が限られてきます。
- 薬学部や看護学部等の他の学部は併設されているか
薬学部や看護学部が併設されている場合実習等で一緒になる可能性があり、多職種の学生とコミュニケーションを取る良い機会となります。
また、近畿・関西地方にある京都府立医科大学では薬学部等に関係なく他の大学と合同の教育を行っており、外部との交流を通して広い視野を持った人材教育が行われていることが特徴です。
- 海外実習の機会はあるか
大学によっては、英語教育・国際交流を重視している大学もあります。
将来的に海外を視野に入れているという場合には意識しておくことがおすすめです。
医学部多浪生へのアドバイス
もっと自分に合った勉強を
必ずしも努力が報われるというわけではありませんが、受験勉強においては努力すればするほどより成績が伸びるはずです。
長期間に渡る受験勉強で疲弊して、「こんなに頑張っているのにどうして結果につながらないんだ」「自分は勉強に向いてないのではないか」と落ち込んでしまう気持ちも理解できます。
そんな受験生こそ、このタイミングで初心に帰って自分の勉強法や、通っている予備校を一から見直してみてはいかがでしょうか。
自分に合った勉強法を確立することは非常に難しいことですが、どの道医学部入試に合格すれば膨大な量の試験が待っています。
受験生のうちに自己流の勉強法を確立して、入試にも医学部の試験にも打ち勝てるようになっておきましょう。
面接対策
また、これは実際の大学入試におけるアドバイスですが、多浪生ほど面接対策に力を入れましょう。
特に志望動機の点を重視するべきです。
多浪してまでなぜ医学部に通いたいのか、漫然とした理由があるだけでは試験官の心を動かすことはできません。
医学部入試に合格して、医学部に通いたい具体的な理由を将来を見据えた上で話すことができれば、良い印象を与えることができるのではないでしょうか。
多浪生におすすめの大学
多浪生に寛容な大学は、基本的に医学部再受験生に寛容な大学と同じになっています。
その例として、国公立・私立大学医学部を1つずつ例示しておきます。
東京大学(国公立大学)
学問に熱心な学生を年齢に関わらず受け入れている。
進振り制度では文系からの医学部進学も可能。
日本医科大学(私立大学)
大学ホームページに浪人や再受験での合格者の体験記があり、浪人生・再受験生に寛容であることをアピールしている。
他にも、多浪・再受験生に寛容な大学はたくさんありますから、前述のように合格者中の浪人・再受験生の割合を調べてみると良いでしょう。
まとめ
最初にもお話したとおり、医学部大学入試に合格することができずに浪人することは、今や医学部受験においては全く珍しいことではなくなってきています。
正しい知識をもとに大学選択をして、自分に合った勉強をすることでみなさんが医学部入試に合格して医師になれることを心より祈っております。
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