医学部医学科は6年制で学士号が取得できるため、大学院へ進学した場合は4年制博士課程に進むことになります。
つまり、医学分野の修士号は医学科以外の他学部卒業生が大学院で医学分野を専攻する場合に取得できる学位であり、医学部医学科生は学士取得後はダイレクトに博士課程に進むということです。
学士号を取得すれば医師国家試験を受験できるのでそのまま医師を目指すことが可能ですが、大学院へ進学する医師も沢山います。
医学部の大学院へ進学する理由やメリットは何なのか、今回は詳しく確認していきましょう。
当記事の監修者:新美暖
- 在籍大学:名古屋大学
- 出身高校:東海高校
現在、名古屋大学医学部医学科3年生で、興味のある科は麻酔科。受験時代は防衛医科大学校、東京慈恵会医科大学、日本医科大学にも合格し、名大模試では全国1位。得意科目は数学・物理。中学受験指導の家庭教師も行っており、生徒を東海、滝、名古屋、愛知、同志社などの難関中学に合格させる。
当記事の監修者:新美暖
- 名古屋大学
- 出身高校:東海高校
現在、名古屋大学医学部医学科3年生で、興味のある科は麻酔科。受験時代は防衛医科大学校、東京慈恵会医科大学、日本医科大学にも合格し、名大模試では全国1位。得意科目は数学・物理。中学受験指導の家庭教師も行っており、生徒を東海、滝、名古屋、愛知、同志社などの難関中学に合格させる。
医学部卒業後の進路
医学部卒業後は、まず医師国家試験の合格を目指します。
その後の進路は、医師一人ひとりの希望によって異なり、そのまま大学院4年制博士課程に進学するか、初期臨床研修を受けるかの選択肢が一般的です。
初期臨床研修
大半の医学部卒業生が医師免許取得後に2年間の初期臨床研修に参加します。
初期臨床研修を修了すると、次は各診療科の専門領域の経験を積む後期研修(専門研修)がスタート。
一人前の医師として専門的な知識や手技を深めていきます。
後期研修が修了すれば、医師として独り立ちして、医療機関等で患者の治療などを行っていくことになります。
大学院へ進学
医学部卒業後にそのまま大学院へ進学せずに、大学院4年制博士課程を進む場合でも2年間の初期臨床研修や後期の専門研修が修了してから進学する医師がほとんど。
一般的に年齢制限や実務経験数など決まりはないので、臨床現場を経験してからどの科を専攻して研究するかを決める流れとなります。
また、研究医養成コース(MD-PhDコース)を設置する医学部では、医学部4年次から大学院博士課程を先取りで学習し、医学部卒業時には医学士と医学博士の両方の学位を取得可能です。
MD-PhDコースの紹介と設置大学院
研究医養成コース(MD-PhDコース)は、研究医の育成を重視する医学部で設置されていることが多いです。
MDはMedical Doctorの略称で医学部医学科を卒業した際の学位を指します。
いっぽう、PhDはDoctor of Philosophyの略称で大学院博士課程を修了した人に与えられる博士号のことを指します。
通常は、上記の図のように、6年間の医学部を卒業後に初期臨床研修を2年受け、その後に大学院博士課程(4年)に進学するため、最短でも医学部の大学院に入学するのは26歳。
いっぽう、MD-PhDコースは、医学部に入学後は4年生まで学士課程で学び、5年目からは大学院に進学し、3年から4年かけて研究に専念し博士号の学位取得を目指します。
博士号を取得した後は、医学部の学士課程5年生に復学し、2年間の臨床研修と国家試験に臨み医師を目指すコースです。
つまり、MD-PhDコースは通常よりも4年早く大学院博士課程に進み、早期に医学研究に従事することができるので、研究医を目指す学生にとっては魅力的なコースとなります。
私の所属する名古屋大学医学部でもMD-PhDコースが設置されており、同学年にそのコースに進もうと決めている子もいます。
MD-PhDコースを設置する医学部一覧
北海道大学 | 国立 |
---|---|
東北大学 | 国立 |
群馬大学 | 国立 |
東京大学 | 国立 |
東京医科歯科大学 | 国立 |
慶應義塾大学 | 私立 |
順天堂大学 | 私立 |
山梨大学 | 国立 |
名古屋大学 | 国立 |
京都大学 | 国立 |
大阪大学 | 国立 |
神戸大学 | 国立 |
広島大学 | 国立 |
徳島大学 | 国立 |
高知大学 | 国立 |
九州大学 | 国立 |
琉球大学 | 国立 |
医学部医学科の大学院へ進学する理由やメリット
研究医を目指す
臨床医ではなく、基礎医学などの研修医を目指す場合は、博士課程に進むのが大前提。
大学院で研究の手法や論理などを学びながら、自分が行う研究に関する論文を書いて医学博士の学位取得を目指します。
そして、学位取得後も大学や研究機関に在籍して研究を続ける医師が研究医と呼ばれています。
国立大学医学部などは基礎医学研究が盛んで、研究医の育成にも力を入れている大学が多く、この場合、効率よく博士号を取得できるよう学士課程で研究医養成コース(MD-PhDコース)などを設置していることが多いです。
特に、研究医希望者が減少している近年の状況に危機感を持った東大医学部、京大医学部、阪大医学部、名大医学部の4医学部が連携して長期的な研究者育成プログラムを開発する目的で初めてMD-PhDコースが設置された過去があります。
教授を目指す
医学部の教授になりたい人は、医学部を卒業後に研究医を経て博士号を取得して論文は発表し医学界で結果を残して準教授、教授とステップアップしていく必要があります。
したがって、教授を目指す人は臨床研修を受けた後に大学院へ進学して4年制博士課程を修了することになります。
教授になるには何年もかかるだけでなく、高倍率の中から選ばれる必要があり、論文の実績もそうですが、政治や運など様々な要素が複雑に絡み合っています。
それでも教授を目指す場合は大学院への進学は大前提と言えるでしょう。
最新の医療など知見を更に深める
4年制博士課程では、臨床現場で得られない研究段階の様々な最新の治療法や病気のメカニズムに触れることが可能です。
また、臨床医として活躍したい場合も、大学院に進学することで論文の執筆方法やリサーチマインドが鍛えられるので、学会発表などのスキルを習得することもできます。
さらに、大学院に在籍していると教授から推薦状がもらえるようになるので、海外留学のチャンスもあります。
医学部の大学院に進学した全員が留学することはできませんが、進学していない医師に比べて難易度は下がると言えるでしょう。
博士号の学位取得は社会的ステータスになる
どの学部でも博士号まで取得することは困難であることから、医師も同様に社会的地位が得られます。
規模の大きな総合病院や大学病院で出世しようと思った場合、博士号の取得が前提なことも多いです。
また、開業医になる場合、博士号が経歴に書けることは権威を高めることができるため、取得する医師がたくさんいます。
つまり、医師としてのステータスを上げるために博士号を取得するという選択肢もあるということです。
医局からの指示
最近は医局に属さない医師もいますが、たいていは医学部を卒業後に母校の医局に所属するのが一般的。
医局のトップである教授は、授業の質や臨床の実績よりも、いかに重要な研究をしたかで評価が大きく変わってくる傾向が強いため、医局がチームとなって研究に取り組むことも珍しくありません。
したがって、人手不足になると医局の准教授や講師といった上司から大学院に進学して研究に協力するよう指示されることもあります。
博士号より専門医の取得を希望する若い医師が増加中
昔は大学院の博士課程へ進んで博士号を取得する医師がほとんどでした。
しかし、近年は若い医師を中心に臨床技術をより高めたいと専門医を取得する人たちが増えています。
専門医になるには、専門研修プログラムで各科で決められた年数の研修を受けて試験に合格することで各診療科の専門医として認定されます。
以前は総合病院でも昇進には大学院で博士号取得が求められることが多かったものの、最近は専門医の資格さえ有れば昇進できるケースも増えています。
ただし、大学病院で出世しようと思った場合は、やはり今でも博士課程を修了している必要があるようです。
したがって、将来研究医として医学界に貢献したい場合は大学院へ進学して博士号を取得する選択肢を選ぶことになるでしょう。
いっぽう、臨床医として技術や知見を深めたいという場合は、大学院進学だけでなく、専門医の資格を取得するのも1つの方法となります。
代官山MEDICALの公式サイトです。
https://www.daikanyama1999.com/
ウインダムの公式サイトです。
https://windom.jp/