医学部医学科設置大学に合格して、医師になりたい。
そんな夢を抱く人が、近年増えてきています。
医学部医学科に合格するとなると、いわゆる大学受験に合格するしか道はないと思いがちですが、実は医学部設置大学に入る方法は皆さんの想像以上にたくさんあります。
この記事ではその中でも医学部推薦入試に焦点を当てて、推薦入試の概要や他の入試方法との比較、推薦入試でおすすめの国公立大学医学部医学科一覧をみていきます。
選択肢を増やすことは、医学部医学科設置大学に合格できる確率を上げることに繋がりますから、医学部を志望する学生には必見の内容となっています。
医学部に入る方法・種類まとめ
まずは、推薦入試を含む医学部医学科に入学する方法について見ていきます。
一般入試(一般受験)
最もメジャーな方法であり、世間一般で入試といえば一般入試を指すことが多いでしょう。
多くの人が知っている通り、国公立大学医学部では一次入試である共通テスト(旧センター試験)や、大学独自の二次入試をクリアすることができた人が合格となり、医学科に進学することができます。
一方で私立大学医学部では共通テストが課されずに、大学独自の二次試験のみで合格が決まるといった大学が多くなっています。
学校推薦型入試
学校推薦型入試は、「公募推薦(公募制)」と「指定校推薦」の2種類の方法に分かれています。
いずれも、
ということが挑戦の前提条件となっています。
大学から出される条件として、高校時代の評定が関係してくることも多いため、高校3年間の内申点が非常に重要となってきます。
この評定の条件は年ごとに変わってくるということもありますから、自分が受ける年の募集要項を熟読しておくことをおすすめします。
学校推薦型入試は一般入試に併願することが可能である場合がほとんどですから、受験の機会を増やすことができるといったメリットがあります。
しかし上述の通り高校3年間の評定・内申点が関わってくる可能性があるため、高校1年生のうちから学校推薦型入試を視野に入れて、しっかりと定期テストや課題に取り組んでおかないと手遅れになってしまうというデメリットもあります。
中には、平均評定4.7以上と非常にタイトな基準を設けている大学もあります。
また、評定には出席日数も非常に重要な要素となってきます。
これらのメリット・デメリット両方の点を判断の材料としてください。
公募推薦
公募推薦では大学から出される条件をクリアしていて、高校からの推薦書が貰えれば誰でも受験可能となっています。
従って皆に平等にチャンスが有りますから挑戦しやすい受験方式と言えるのではないでしょうか。
指定校推薦
指定校推薦は、大学から出される条件をクリアしていても、大学が指定する特定の高校出身者のみが受けられる仕組みになっています。
指定校推薦で大学受験を終わらせたいという場合は、ある程度の実績を持っている高校を選びましょう。
総合選抜(旧AO推薦)
総合型選抜とは、提出書類や面接や論文、プレゼンテーションなどから受験生の能力・適正などを総合的に評価する入試方式です。
受験期間が長いことが特徴となっています。
また、大学ごとに行う選抜内容は多岐にわたりますから、小論文や面接以外にも純粋な学力だけでは立ち向かえない試験が課されている場合もあります。
しっかりとその大学の選抜内容・難易度を調べて、万全の対策をして望みましょう。
学士編入
学士編入とは、4年生の卒業生を対象とした入試に合格した者を医学科2年や3年に編入させる形式のものです。
入試倍率が高いことがネックですが、一般入試より科目が少ない等のメリットもあります。
また、一般科目と面接試験の得点の配分が一般入試とで大きく異なることがあり、得意分野によってはかなり厳しい試験となってしまう可能性があるので、注意が必要です。
現在では20を超える国公立大学医学部で学士編入制度があるようです。
本記事では、上述の医学部入試形態のうち「学校推薦型入試(公募推薦・指定校推薦)」と「総合選抜(旧AO試験)」とをまとめた推薦入試全体について焦点を当てて紹介してきます。
推薦入試のメリット
では、推薦入試を受けるメリットというのは一体どのようなものがあるのかを見ていきたいと思います。
合格の可能性が上がる
これは上記でも述べましたが、推薦入試は一般入試に併願することが可能である場合がほとんどですから、受験の機会を増やすことができるといったメリットがあります。
受験の機会が増えれば必然的に合格の可能性も上がってきますから、なんとしてでも医学部に入りたいという受験生は是非ご一考してみてください。
推薦入試は一般入試より倍率が低い
この、大学一般入試よりも推薦入試のほうが倍率が低くなるという点は推薦入試の非常に大きなメリットです。
倍率が下がる理由としては、単純に推薦入試を受けようと考える学生の数が少ないということが最も考えられることではないでしょうか。
この記事を読んでいる大学受験生は、推薦入試に少なからず興味があってこの記事にたどり着いたのでしょう。
しかし、周りの医学部受験生を見てみてください。
推薦入試を視野に入れている医学部受験性が一体どれほどいるでしょうか。
少なくとも筆者の周りでは、体感で受験生20人に1人位の割合でしかいなかった印象です。
そもそも医学部に推薦入試があることを知らなかったり、知っていても「なんとなくハードルが高そうだから」とよく調べる前に選択肢から排除してしまったりという受験生がほとんどでしょう。
従って、推薦入試に興味を持った受験生の皆さんは、競争相手の少ないいわばブルーオーシャンで戦うことができるのです。
また、そもそも医学部推薦入試は大学によって出願資格を現役生に限定していたりということもありますから、そういったことも推薦入試の倍率を下げている一つの理由であるでしょう。浪人生にとっては挑戦しにくい試験となっています。
医学部受験を早く終わらせることができる
大学医学部一般入試は、基本的に高校3年生の1〜2月に行われるということは皆さんご存知かと思います。
一方で、推薦入試はそれよりも早い時期に行われることが多いものとなっています。
(※大学によって行われる時期は異なってきますから、受験する大学医学部のホームページから最新の受験募集要項を確認してください。)
従って、推薦入試で希望の大学医学部に受かることができた場合は一般入試よりも早い時期に受験生活から開放されることになります。
受験生は慢性的なプレッシャーに晒されていて精神的に参ってしまうこともありますから、早期に受験が終わることは精神衛生上非常に良いでしょう。
また、空いた時間を自分の好きなように使うこともできます。
ずっとしてみたかったけど時間が足りなくてできなかったことや、受験に関係ない好きな分野の勉強などをして時間を有効活用しましょう。
推薦入試おすすめの国公立医学部
ここからは、推薦入試におすすめの国公立大学医学部について紹介していきます。
(※推薦入試の形態等は年によって変更する可能性がありますから、受験する大学医学部のホームページから必ずご自身で最新の受験募集要項を確認してください。)
筑波大学
筑波大学の推薦入試の特徴は、なんといってもその募集人数が非常に多いという点でしょう。
医学部学校推薦型入試では、驚くべきことに44名もの募集人員が設けられています。(2022年度)
実は、この募集人数は一般入試の募集人数と大きな差がありません。
一般入試と推薦入試での募集人数の差がここまで小さい大学は珍しいです。
募集人数が多いということは、それだけ医学部に合格できる可能性も上がってくるということですから、是非筑波大学を選択肢の1つに考えてみてはいかがでしょうか。
筑波大学医学類の推薦要件は以下のようになっています。
⑴調査書の学習成績概評A段階に属する者、又は筑波大学の個別学力検査等に合格できる程度以上の学力を有する者
⑵全教科がバランスよく優れている上に、英語及び理数系特に数学、理科(物理学、化学、生物学のうち2科目)の能力が抜群で、医師となる資質が十分であると考えられる者(それを証明する客観的資料があれば適宜添付のこと。)
⑶高等学校等において、国際的な課題をテーマとする探究的な学習や、国際交流に関する活動に取り組み、コミュニケーション能力、問題解決能力等の国際的な素養を身につけた者(その根拠として、本人の作成する「活動報告書」を添付のこと。)で、英語及び理数系科目の能力が抜群で、将来、国際舞台で活躍する資質が十分であるとと考えられる者
また、筑波大学医学類のアドミッションポリシーでは以下のように求める人材が書かれてありますから、このような点に注意して面接等の対策を行いましょう。
自然科学、語学等の十分な基礎学力と豊かな創造性、探究心を有し、高い倫理観、協調性、コミュニケーション能力を持って、生涯にわたり人類の健康と福祉に貢献する強い石を持つ人材 (筑波大学入学要項より抜粋)
筑波大学医学部の推薦入試で注意しなければいけない点は、小論文の試験で英語・数学・理科の学力が問われてくるという点です。
一般的に言われる小論文とは異なった試験形式ですから、過去問等を確認しておくと良いでしょう。
ただし選抜日程は2021年度では11月末となっており、一般入試とは日程が大きく離れていますから十分対策をする余裕があります。
高知大学
高知大学医学部も、筑波大学医学部ほどではありませんが、推薦入試で多くの人員を募集している大学の一つとなっています。
その募集人数は「30人以内」となっており、医学部推薦入試の中では多いです。
また、医学部推薦入試に必要とされる評定も「4.3以上」と比較的緩い基準となっているので、受験資格を持つ学生も多くいることでしょう。
ただし、募集要項の出願資格には
「本学部への志望動機が明確であり,高知県内の地域医療に従事する強い意欲及び医学研究に対する強い志望動機を持つとともに,卒業後は高知県内の医療機関で2年間の初期臨床研修を行うことを確約できる者」
とありますから、医学部卒業後の初期研修の場所が決まってしまうというデメリットもあります。
これらの点を総合的に考えて、判断して見てください。
最後に、他のおすすめの推薦入試を行っている国公立大学を一覧にして簡単にまとめておきます。
その他おすすめ大学一覧
大学 | 入試形態 |
---|---|
北海道大学 | 総合型選抜 |
群馬大学 | 地域医療枠 |
東京大学 | 推薦入試 |
東京医科歯科大学 | 特別選抜 |
福井大学 | 福井健康推進枠 |
島根大学 | 緊急医師確保対策枠 |
琉球大学 | 地域・北部離島枠 |
もちろん、ここに記した以外にも推薦入試を行っている国公立大学は多く存在しますし、他の入試形態も多数存在しますから、自分の興味のある医学部設置大学の受験募集要項をしっかりと読んでみましょう。
特徴的な推薦入試を行っている医学部
次に、特徴的な推薦入試を行っている国公立大学医学部を見ていきましょう。
東北大学
東北大学医学部では、「帰国生徒入試」という入試を行っています。
出願資格については東北大学医学部帰国生徒入試募集要項を参照していただけると良いですが、基本的には海外で教育を受けて日本に帰国した帰国子女が募集対象となっています。
第一試験として筆記試験を行い、筆記試験通過者に第二試験である面接試験の受験資格が与えられます。
筆記試験では、英語に加えて理数系科目の能力が問われてくるため、難易度は非常に高いものとなっています。
また、第二試験の面接試験の前には小作文が課されており、この小作文も面接試験の際の判断材料となっているようです。
旭川医科大学
旭川医科大学では「国際医療人特別選抜」といった入試が行われています。
このような入試形態をとっていることからも分かる通り、旭川医科大学ではグローバルに活躍することのできる人材育成に力を入れています。
この試験では推薦書・調査書の内容を見る第一試験を行い、通過者には課題試験及び面接試験からなる第二試験の受験資格が与えられます。
注意事項として、共通テストの結果が足切りとして用いられていることが挙げられるでしょう。
令和4年度の試験日程は11月の末となっており、一般受験と離れているため十分な対策を取ることができるのではないでしょうか。
おわりに
いかがだったでしょうか。
推薦入試といったものが一体どういった入試形態で、具体的にはどんなものがあるのかということが少なからず理解できたでしょう。
医学部に入るとなると、一般入試ばかりに目がいってしまうかもしれませんが、紹介したような学校推薦型入試や総合選抜等の推薦入試といった医学部受験形式も選択肢に入れることができると、より医学部合格の可能性が上がるはずです。
もちろん、推薦入試が簡単というわけではないですが、一つの選択肢として考えてみていただけると幸いです。
今回の記事では、国公立大学医学部に焦点を当てて医学部推薦入試について解説しましたが、私立大学でも獨協医科大学や帝京大学を始めとして推薦入試を行っている大学は多く存在します。
自分に合った選抜方式をしっかりと見極めて、みなさんが医学部医学科に入学することができることを祈っております。
代官山MEDICALの公式サイトです。
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ウインダムの公式サイトです。
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