多くの国公立大学・私立大学の医学部医学科で設けられている「地域枠選抜」。
医師偏在(医師が特定の地域に偏って属していること)の解消を目的に厚生労働省が導入した制度で、各都道府県の高校を卒業していることや、大学卒業後に特定の地域で一定期間勤務することなどを条件に設けられた特別な募集枠です。
この記事では、2023年度における国公立・私立大学医学部医学科入試の地域枠情報をわかりやすくまとめました。医学部合格を目指す受験生の参考になれば幸いです。
【2023年度/国公立】医学部入試の地域枠一覧
医学部医学科の地域枠選抜は、地域医療における医師不足の解消を目的につくられた制度です。
奨学金の給付により経済的な負担を減らせること、一般選抜と比べ競争率が低いことなどがメリットに挙げられます。
一方で、地域枠で医学部に入学した学生は卒業後、各都道府県や大学が指定する医療機関や特定診療所での勤務が義務付けられるため、一定期間(9年程度)はその地域から離れられないことに注意が必要です。
ここでは、2023年度における国公立大学医学部医学科の地域枠情報をご紹介します。
なお、下表は2022年11月5日時点に各大学の公式サイトで公開されている募集要項をもとにまとめています。
詳細や最新情報については必ず各大学の公式サイトにてご確認ください。
国立大学の医学部地域枠
2023年度の国立大学医学部医学科の地域枠情報を下表にまとめました。
大学名 | 選抜方式 | 募集人員 |
---|---|---|
旭川医科大学 | 総合型 | 32 |
学校推薦型 | 10 | |
弘前大学 | 一般 | 8 |
総合型 | 42 | |
秋田大学 | 一般(後期) | 4 |
学校推薦型 | 24 | |
筑波大学 | 学校推薦型 | 18 |
群馬大学 | 学校推薦型 | 12 |
千葉大学 | 一般 | 5 |
東京医科歯科大学 | 地域特別枠推薦選抜 | 15以内 |
新潟大学 | 学校推薦型 | 33(2022年度) |
富山大学 | 総合型 | 20 |
学校推薦型 | 15以内 | |
金沢大学 | 学校推薦型 | 12 |
福井大学 | 学校推薦型 | 20(地域枠10、福井健康推進枠10) |
山梨大学 | 学校推薦型 | 15以内(35以内に増員の可能性あり) |
信州大学 | 学校推薦型 | 10(25に増員の可能性あり) |
岐阜大学 | 学校推薦型 | 28 |
浜松医科大学 | 一般(前期) | 7 |
一般(後期) | 1 | |
学校推薦型 | 7 | |
三重大学 | 一般 | 5程度 |
学校推薦型 | 30 | |
滋賀医科大学 | 一般 | 5 |
学校推薦型 | 6 | |
神戸大学 | 学校推薦型 | 10 |
鳥取大学 | 一般 | 21 |
学校推薦型 | 5 | |
島根大学 | 一般 | 3 |
学校推薦型 | 10以内 | |
岡山大学 | 学校推薦型 | 申請中 |
広島大学 | 学校推薦型 | 5(18に増員の可能性あり) |
山口大学 | 一般(後期) | 3 |
学校推薦型 | 地域枠22以内、特別枠17以内 | |
徳島大学 | 学校推薦型 | 17 |
香川大学 | 一般 | 9 |
学校推薦型 | 5 | |
愛媛大学 | 学校推薦型 | 20 |
高知大学 | 一般 | 5 |
学校推薦型 | 15以内(20以内に増員の可能性あり) | |
佐賀大学 | 学校推薦型 | 19 |
佐賀県推薦 | 4 | |
⾧崎大学 | 学校推薦型 | 34 |
熊本大学 | 学校推薦型 | 18 |
大分大学 | 一般 | 10 |
総合型 | 13 | |
宮崎大学 | 学校推薦型 | 40 |
鹿児島大学 | 学校推薦型 | 20 |
琉球大学 | 学校推薦型 | 17 |
公立大学の医学部地域枠
2023年度の公立大学医学部医学科の地域枠情報を下表にまとめました。
大学名 | 選抜方式 | 募集人員 |
---|---|---|
札幌医科大学 | 学校推薦型 | 35 |
福島県立医科大学 | 学校推薦型 | 35(うち既卒10) |
横浜市立大学 | 一般 | 11(地域医療枠9、神奈川県指定診療科枠2) |
学校推薦型 | 12(地域医療枠10、神奈川県指定診療科枠2) | |
名古屋市立大学 | 学校推薦型 | 7 |
京都府立医科大学 | 学校推薦型 | 7 |
大阪公立大学 | 一般 | 5 |
学校推薦型 | 10 | |
奈良県立医科大学 | 学校推薦型 | 25 |
和歌山県立医科大学 | 一般 | 12(県民医療枠/全国募集) |
学校推薦型 | 24(一般枠6、県民医療枠8、地域医療枠10) |
医学部地域枠の選抜方式・募集人員
大学入試の主な選抜方法は「一般選抜(旧一般入試)」「学校推薦型選抜(旧推薦入試)」「総合型選抜(旧AO入試)」の3種類です。
上の表を見ると、学校推薦型選抜にて地域枠を設けている大学が多いことがわかります。
また、地域枠の範囲は大学によって異なり、地域枠の対象を各都道府県の出身者のみとする大学もあれば、複数の都道府県や地方ブロックの出身者も対象とする大学もあります。
たとえば高知大学では学校推薦型選抜において、四国・瀬戸内地域(高知県、香川県、徳島県、愛媛県、兵庫県、岡山県、広島県、山口県)の受験生を対象としています。
このように県内出身者以外も地域枠の対象とする大学は多いため、地域枠のある医学部医学科の情報を調べる際は、出身県に限らず幅広く見ておくことをおすすめします。
ただし、現時点(2022年11月上旬)で募集要項に記載されている地域枠の募集人員は「認可申請予定」であることが多い点に注意が必要です。
たとえば山形大学では2022年度一般選抜において、医学部医学科の地域枠に係る臨時定員増は2021年10月27日付けで認可され、大学の公式ホームページでは2021年11月11日に公表しています(2022年度は地域枠として8人増員)。
さらに一般選抜や学校推薦型選抜の募集要項をまだ公表していない大学もあり、名古屋大学では文学部以外の学校推薦型選抜と一般選抜の募集要項は2022年11月下旬の公表を予定しています。
医学部医学科の募集人員について認可が下りた大学は、公式サイトにて随時公表しています。
前述のとおり募集要項には申請前の募集人員を記載している大学も多いため、医学部の地域枠について調べる際は、必ず各大学の最新情報をチェックしてください。
【2023年度/私立】医学部入試の地域枠一覧
国公立大学と同様に、私立大学の医学部医学科においても地域枠を導入する大学は数多くあります。
合格確約のある地域枠選抜の場合、合格後はその大学に必ず入学する必要があるため、他大学と併願している場合は注意しなければなりません。
ここでは、2023年度における私立大学医学部医学科の地域枠情報をご紹介します。
なお、下表は2022年11月5日時点に各大学の公式サイトで公開されている募集要項をもとにまとめています。
詳細や最新情報については必ず各大学の公式サイトにてご確認ください。
私立大学の医学部地域枠
2023年度の私立大学医学部医学科の地域枠情報を下表にまとめました。
大学名 | 選抜方式 | 募集人員 |
---|---|---|
岩手医科大学 | 学校推薦型 | 25 |
一般 | 12 | |
東北医科薬科大学 | 一般(修学資金枠) | 55 |
獨協医科大学 | 学校推薦型(公募(地域特別枠)) | 10 |
学校推薦型(指定校制(栃木県地域枠)) | 10 | |
栃木県地域枠 | 5 | |
埼玉医科大学 | 学校推薦型 | 19 |
杏林大学 | 東京都地域枠 | 10 |
新潟県地域枠 | 3 | |
順天堂大学 | 東京都地域枠 | 10 |
新潟県地域枠 | 1 | |
千葉県地域枠 | 5 | |
埼玉県地域枠 | 10 | |
静岡県地域枠 | 5 | |
茨城県地域枠 | 2 | |
昭和大学 | 新潟県/静岡県/茨城県地域枠 | 準備中 |
帝京大学 | 一般(臨時定員) | 6 |
東京医科大学 | 学校推薦型 | 13 |
東邦大学 | 一般 | 4 |
学校推薦型(公募制) | 8 | |
日本医科大学 | 一般(前期) | 14 |
一般(後期) | 6 | |
北里大学 | 一般(相模原市修学資金枠) | 2 |
聖マリアンナ医科大学 | 学校推薦型 | 5 |
東海大学 | 神奈川県地域枠 | 5 |
静岡県地域枠 | 3 | |
金沢医科大学 | 学校推薦型(指定校・指定地域) | 6 |
愛知医科大学 | 学校推薦型 | 5 |
共通テスト利用 | 5 | |
藤田医科大学 | 一般(前期) | 5 |
一般(後期) | 5 | |
大阪医科薬科大学 | 一般 | 2 |
関西医科大学 | 学校推薦型 | 15 |
近畿大学 | 地域枠 | 17 |
兵庫医科大学 | 一般 | 3 |
学校推薦型(地域指定制) | 5以内 | |
川崎医科大学 | 総合型 | 約21 |
地域枠 | 約26 | |
久留米大学 | 久留米大学特別枠推薦型 | 約20 |
福岡県特別枠推薦型 | 5 | |
産業医科大学 | 学校推薦型(Aブロック) | 15以内 |
学校推薦型(Bブロック) | 15以内 | |
学校推薦型(Cブロック) | 15以内 | |
福岡大学 | 地域枠 | 10 |
医学部地域枠の選抜方式・募集人員
私立大学医学部医学科の地域枠は一般選抜でも多く取り入れられています。
複数の都道府県出身者を対象とする大学が多く、たとえば福岡県の産業医科大学では全国を3つのブロックに分け、各ブロックにつき15人以内を募集人員としています。
ただし、Cブロックは福岡県を含む九州地方のみの地域枠となっているため、九州地方で医学部合格を目指す受験生は他の地域よりも有利といえるでしょう。
医師数の地域格差が問題視されるなか、2023年度から医学部地域枠の新設をおこなう私立大学も複数あります。
東京医科大学では学校推薦型選抜に「埼玉県地域枠」を新設し、茨城県地域枠・新潟県地域枠と合わせて募集人員を13人としました。
また、日本医科大学では一般選抜に「新潟県地域枠」を新設し、医学部医学科の募集人員を2人増員しています。
【まとめ】最新情報は各大学の公式サイトで確認を
医学部医学科の地域枠選抜は多くの国公立・私立大学で実施されています。
医学部受験の選択肢の一つとして、各大学の地域枠選抜についても調べておくことをおすすめします。
繰り返しになりますが、医学部地域枠の情報は2022年11月5日時点で各大学が公表している募集要項をもとにまとめています。
医学部地域枠の募集人員は許認可により変更になる場合があるため、地域枠について調べる際は各大学の公式サイトにて最新情報をご確認ください。
代官山MEDICALの公式サイトです。
https://www.daikanyama1999.com/
ウインダムの公式サイトです。
https://windom.jp/