医者になるうえで、その後のキャリアを決めるのに重要になってくるのは何でしょうか?
その一つの答えが、「専門診療科」です。
もちろん、人気な科・マイナー科などはありますが、医師になる際に決めなければならない「診療科」というものは、その後の医師としての人生に大きく関わってきます(病院選びに始まり、転職や給与にも違いが……)。
この記事では、医学部生・医師にとっての人気な科を中心に、専門診療科の選び方について、紹介していきます。
それでは、見ていきましょう!
医学部生にとって人気な科は?
まずは、医学部生にとって人気な科の紹介です。
人気な科ランキングと実際の感触
まず、データとして示されている医学部生に人気な科ですが、以下の三つが挙げられます(データ元:日本医師会総合政策研究機構2015年調査、診療科を2つまで選ぶ形)。
- 内科 33.8%
- 小児科 19.3%
- 総合診療科 14.4%
実際に筆者の知り合いの中でも、これらの診療科を志望している医学部生は多くいます。
一方で、これら以外の科を志望先としている学生もおり、その最たる例が精神科です(上記データでは7.5%でしたが、筆者の体感では1割以上が精神科志望と考えています)。
他にも、脳神経外科・形成外科などは現役の医学部生に人気が高くなっているほか、美容整形外科なども給与の面から人気になっています。
実際の医師数との違い
続いて、実際の医師数のトップ3を紹介します。
- 内科 19.4%
- 整形外科 7.0%
- 小児科 5.6%
これを見ると、上記のランキングと比べ、概ね傾向は一致していますが、整形外科が2位にランクインしているという大きな違いがあります。
この理由の一つとして、整形外科の医者の平均年齢が高いということが挙げられます。
医師の平均年齢が49.9歳なのに対して整形外科は51.5歳と、比較的年齢層が高い医師が集まる傾向があります。
なお、全国で1000人以上の医師が病院等で従事している診療科のうち、平均年齢が高い3つの診療科は次の通りです。
- 内科 58.6歳
- 婦人科 56.6歳
- 耳鼻咽喉科 52.3歳
内科は平均年齢が他よりも一段高くなっています。
しかしながら、内科を志望する医学部生・臨床研修医も多いため、しだいにこの平均年齢は低くなっていく事が予想されます。
医者はどの時期に専門診療科を選択するか
さて、次はどの時期に医者が専門診療科を選択するかという点です。
多くの場合、専門診療科の最終選択は初期研修途中にあります。
それはすなわち、後期研修医として病院のプログラムに登録する際、「○○科研修プログラム」という形で選ぶことになる、ということです。
この場合、初期研修中に研修先の科について見当を付けておかなければ、研修中にその科の雰囲気を体験できなかったり、情報不足に陥ってしまいます。
初期研修プログラムに意中の科を含めたい
そのようなことを防ぐためにおすすめなのが、初期研修プログラムに意中の科を含んでおくということです。
たとえば、下記のような病院の研修プログラムがあったとします。
- 内科:6か月
- 救急科:3か月
- 精神科、小児科、外科:1か月
- その他選択:12か月
この場合、選択として選べる12か月は、自分の裁量で選べることが多いです(例えば整形外科6か月、眼科3か月、耳鼻咽喉科3か月、など)。
ですので、この選択期間で、自分の選択しうる診療科を研修しておきましょう。
また、病院によっては「救急科重点プログラム」のように、特定の科に重点を置いて研修プログラムを用意している病院もあります。
もし仮に医学部生のうちに希望診療科が絞れている際は、初期研修のマッチングに於いて、このような「特定の科に重点を置いている病院」を選ぶのがポイントです。
専門診療科の選び方、医者が重視すべきは?
さて、本題の「専門診療科の選び方」についてです。
専門診療科を選ぶ上で、重要な要素は次の3つとなってくると思われます。
- 給料・報酬
- 時間的・社会的問題
- 自分の興味
では、一つ一つ解説していきましょう。
給料・報酬
まずは、生きていくうえで不可欠でありながら、重要な要素ともなる報酬についてです。
労働政策研究・研修機構のデータによれば、大まかな診療科ごとの医師の年収は以下の通りになります。(単位:万円)
脳神経外科 | 1480 |
---|---|
産婦人科 | 1466 |
外科 | 1374 |
麻酔科 | 1335 |
整形外科 | 1289 |
呼吸器・消化器・循環器科 | 1267 |
内科 | 1247 |
精神科 | 1230 |
小児科 | 1220 |
救急科 | 1215 |
放射線科 | 1103 |
眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科 | 1078 |
もちろん、開業・勤務医で多少の違いはありますが、この中で言う外科や産婦人科などは平均年収が高くなっています。
一方で、年収が高いからと言って一概に優れているわけではなく、時間外労働がどうしても多くなってしまうという見方もできますので、他の要素を考慮することも大切です。
時間・社会的問題
こちらも診療科選びにとって重要な問題です。つまり、「時間的余裕があり忙殺されないか」「転職などは可能か」といった部分になります。
前者の「時間的余裕」はどうしても診療科ごとに特徴が出てしまう部分です。急患が少ない科では急なオペが入ることも少なく比較的自分のペースを守って仕事ができますが、救急科や脳神経外科・産婦人科などは急な対応が必要となる為、時間的余裕があるとは言い切れません。
また、転職・病院変更・開業などの際にも関わってくる部分はあります。
特に、現在の医師の割合が少ないような科(人員不足の対策を行っているような診療科。例えば産婦人科)は転職に有利といえるでしょう。
一方で、内科は人数こそ多いですが開業した時の対象が明確であり、開業しやすいというメリットがあります。
他にも、産婦人科は女性の医師の割合が高くなっている為、女医同士での関係構築をすることも可能だったりと、社会的な面での影響を考えることもできます。
自分の興味
最後に、自分の興味を優先することです。
大学の教育において、自分の興味がある分野・フィールドの存在が少しずつ分かってくることかと思います。
そのような自分の興味に基づいた選択も、一つの選択肢になってきます。
途中での希望診療科追加も可能
しかしながら、一度専門医資格を取得した後も、他の専門医資格を取得することができます。
実際に、複数の専門医資格を所得しながら両方のエキスパートとして病院に勤務している医師も数多くおり、決して難しい事では無いことが分かります。
将来に悩んでいる方も、「後期研修後に専門医資格を取ることができる」という知識を持っておくと、気が楽になるかもしれません。
また、医師として複数の専門医資格を持っていると転職にも有利です。
まとめ【医学部生の段階で早めに決定もOK】
いかがでしたでしょうか?
今回の記事では、医学部生・医師の診療科の選び方についてお伝えしました。
大学卒業後、研修の段階での診療科選びは、比較的よくある考え方です。
しかしながら、初期研修期間で興味の有る診療科が強い病院に入ったり、興味の有る診療科を初期研修で重点的に回るなどの方法を取ることができますので、早めの段階、医学部生の段階で診療科を選ぶこともおすすめです。
悩みどころではありますが、様々な可能性を考慮しながら、診療科選びをしていきましょう。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
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