医師になるための唯一の方法である医学部医学科を目指して勉強を頑張っている受験生向けに入学後の大学生活を紹介。
医学部ではどんな学生生活を送り、就職まで至るのか詳しく解説していきます。
是非この機会に医学部生活をチェックしてみて下さい。
医学部医学科とは?
医師となるためには、医師国家試験を合格することが必要です。
その医師国家試験を受験するために、まずは医学部医学科で6年間学ぶことが必要になります。
ここでは、医師を志す学生が集う医学部医学科について、簡単にご紹介します。
全国82の大学に医学科が設置
2021年度現在、日本全国には82大学に医学部医学科が設置されています。
その内訳とは、国公立大学50、準大学(防衛医科大学)、私立大学31となっています。
国公立大学では東大をはじめとした旧帝大と呼ばれる7大学、私立大学では慶應義塾大学・慈恵会医科大学・日本医科大学の私立御三家が名門校と言えるでしょう。
一方で、2016年には東北医科薬科大学、2017年には国際医療福祉大学として新設医学部が発足しており、多様な大学に医学部が存在しています。
日本で唯一の特徴的な大学も
福岡県にある産業医科大学は、日本で唯一「産業医」を輩出する大学です。
産業医とは、職場環境と労働者の健康とを管理する医師のことです。
また、埼玉県には防衛省が管轄する、防衛医科大学があります。
ここでは、防衛省職員として扱われ、毎月所定の手当が支給され、幹部自衛官になるための教育訓練も受けることができます。
栃木県には自治医科大学があります。
この大学は地域医療を担う総合診療医を養うための大学で、全国都道府県で選抜された学生が集う大学です。
医学部医学科の入試制度は情報戦!?
医学部医学科には、様々な入試制度があります。
最も一般的なのが「一般試験」です。国公立大学であれば共通テストの試験と二次試験との総合評価で、私立大学では筆記試験で評価されます。
意外と知られていない事実として、指定校型推薦や公募型推薦などの「推薦型試験」や総合学科での導入が話題になった「AO入試」も定員は少ないですが存在します。
その他にも、「地域枠入試」や「特別枠入試」などがあります。
地域枠入試とは、大学の所在する都道府県出身者を対象とした入試制度で、特別枠入試とは、地域医療へ貢献する医師要請するために設けられた入試制度です。
自分に適した受験制度を見つけるためにも、情報収集は欠かせないでしょう。
国公立大学と私立大学との違いとは
大きな違いとして挙げられるものの一つに、「学費」があります。
国公立大学医学部では6年間で約350万円(年間約57万円)であるのに対して、私立大学医学部では最も低いところでも6年間で約2000万円と、大きな差があります。
「学力(偏差値)」については、国公立大学大学だから、私立だから、といった違いは見られません。
医師国家試験合格率を見ても、国公立大学と私立大学に分かれたデータはありません。
医学部医学科の浪人事情とは
医学部医学科の入学試験が難しいことはよく知られています。
現役合格生と浪人生の内訳とを公開している大学も多くあり、それらを集計すると、国公立大学医学部の方が比較的現役生が多く、私立大学医学部は比して浪人生が多い結果となりました。
しかし、浪人と行っても1浪と限らず、2浪3浪、中には8浪という医学生も少なくありません。
一度大学を卒業されてから医学部に編入する「学士編入」や、社会人となった後に医学部入学を果たす「再受験生」というのも医学部では決して珍しくありません。
医学部医学科の【学ぶこと】とは?
医学生の6年間は、大学独自の「カリキュラム」に定められています。
よって、同じ医学生でも、大学によって、何をいつ学ぶのかが異なるのです。
ここでは、一般的なカリキュラムについて、簡単に解説していきます。
これを機に、志望する大学のカリキュラムと他大学のものとを比べてみるといいかもしれません。
一般教養「1、2年生」
多くの医学部では、入学当初から医学を学ぶことはありません。
まずは一般教養として、文学・芸術・語学・科学などを学びます。
医師には医学的知識は欠かせませんが、医業を成すものとしてその人間性を磨くという意味でこの教養教育は重要だとされています。
一般的には、選択制で、自分の興味のある授業を選んで受講することになります。
基礎医学「2、3年生」
基礎医学とは、人体や医学に関わることについての基礎、簡単にいえば人体などの「正常」を学ぶ学問の総称です。
具体的には、解剖学や組織学、生理学、発生学、微生物学などを学びます。
ついに医学部生らしい内容となり気持ちが引き締まる一方、必要とされる知識量の多さに圧倒されるでしょう。
基礎医学で学ぶ学問の多くは、後述する研究室配属という制度で、実際にその研究活動に参画することにもなります。
臨床医学「2、3年生〜4、5年生」
基礎医学で「正常」を学んだあとは、臨床医学を学びます。
臨床医学とは、実際に臨床で学ぶ医学、簡単にいえば人体の「異常」つまり病気について学ぶ学問の総称です。
内科や外科、小児科や産婦人科など、全ての診療科について学ぶ日々が続きます。
その他にも、病理学や臨床検査学などに加え、医療に関わる法律などの「公衆衛生」についても学びます。
CBT /OSCE 実習前最大の試練!?
CBT(シービーティー)とは、Computer Based Testの略。
共用試験とも呼ばれ、ほとんど全ての大学で行われている試験で、臨床実習に入る前の確認試験のようなものです。
ここまで学んだ基礎医学・臨床医学全てを対象として、丸一日かけてPC上で解答していく試験です。
OSCE(オスキー)とは、日本語で客観的臨床能力試験のこと。
臨床現場で必要となる「診察手技」の試験です。
聴診器の当て方や触診の仕方など、実習で必要になる行為の実技試験です。
実際に模擬患者さんを前にし、頭・胸・お腹など、全身の各部位に対して基本的な診察ができるかが試されます。
臨床実習「4、5年生〜6年生」
見事CBT/OSCEに合格したら、ついに臨床実習です。
「Student Doctor」として実習に参加し、病院での実臨床を学びます。
大学病院に限らず地域病院での実習も行われ、多様な診療科を実習して回ります。
卒業試験「6年生」
医学部医学科には、他学部にあるような「卒業論文」は無く、代わりに各大学が用意する卒業試験があります。
その時期や内容は大学によって様々です。
一般的には、6年生の夏・秋頃に、全診療科を対象とした試験もしくは国家試験の模擬試験を受験します。
医師国家試験
卒業試験を無事に合格することができれば、ついに医師国家試験の受験です。
例年、2月初旬に行われる医師国家試験に向け、6年間学んだ全ての知識を再確認していきます。
これに合格することでやっと、医師としての資格を得られるのです。
医学生の【学生生活】とは?
非常に勉強量の多い、医学部医学科。
では、そんな彼らの学生生活とは、どのようなものなのでしょうか?
ここでは、医学部医学科の一般的な学生生活について、簡単にご紹介します。
医学部医学科の部活動事情とは
大学生といえば、といって連想されるもののひとつが「サークル」。
しかし、多くの医学部医学科ではサークルではなく、「部活」がほとんど。
というのも、医学部医学科の運動部は驚くことに真剣そのもの。
東日本西日本それぞれの医学部医学科が集う、年に一度の東医体/西医体に向けて、日々懸命に練習に励んでいます。
文化系の部活も同様、医学部医学科は部活・サークルを通して他学部との交流が盛んです。
医学部医学科でもアルバイトできる?
医学部医学科は学習量が多い中、部活だけでなくアルバイトに勤しむ人も実は少なくありません。
大学の立地などによって様々ですが、受験経験を活かして家庭教師や塾講師などの教育系アルバイトをしている人が多いようです。
就職の際、面接でアルバイト経験の有無やそこでの学びを聞かれることもあります。
アルバイトを通して多くの人と関わることで、様々な経験をすることができるでしょう。
それでもやはり本業は学業。
高学年になるほど、アルバイトをしている医学生は少なくなっていきます。
医学部医学科のキャンパスライフとは
ここまで紹介したように、医学部医学科の放課後は部活やアルバイト、そして勉強の時間です。
看護学科や検査技師などを養成する保健医療学科といった医療系の他学科に加え、大学によっては他学部との交流が盛んなところもあります。
広く教養を持ち高い人間性を兼ね備えた医師になるためにも、積極的に交友を深めるといいでしょう。
中には、研究室配属やMd-PhDコースといった機会を利用して、学生のうちから積極的に研究に励んでいる学生もいます。
Md-PhDコースとは、研究医養成プログラムの一環で、研究者を目指す人にはおすすめのコースです。
研究室配属とは
多くの大学では、研究室配属という期間が設けられています。
研究室配属とは、大学の研究室を選択し、そこで数ヶ月間、医学研究に参画するというもの。
医学部医学科は、卒業生全員が必ずしも臨床医になるわけではありません。
様々な進路の一つである研究医について、実際にその活動を体験できる貴重な機会です。
医学研究の中には、iPS細胞やゲノム編集など、世間一般に知られているものも少なくありません。
あなたの志望する大学でどのような研究が行われているか、調べておくこともお勧めします。
医学部医学科の留年状況は
大学に入学できればもう大丈夫、とそういう訳ではありません。
毎年、進級試験を設けている大学もあり、部活やアルバイトなど、勉強以外に時間を費やしすぎると、あわや留年なんてことも。
大学によって様々ですが、留年した、という学生は決して少なくありません。
というのも、医学部医学科は基本的に全科目が「必修」。
必修とは、卒業するために必ず取得しなければならない単元(科目)のこと。
つまり、ひとつの科目でも単位を落とすと、その時点で留年が確定するのです。
医学生の【就職】 そのためには?
意外と知られていないのが、医学部医学科の就職事情。
実は、医学部医学科にも就職のための「就職活動」に似たものがあるのです。
ここでは、医学部医学科の就職ついて、簡単にご紹介します。
医学部医学科の進路とは
医学部医学科を卒業した後には、様々な選択肢があります。
多くの人は、実際に患者に治療を行う臨床医を選択しますが、それ以外にもあまり知られていない進路があります。
研究を主に行う研究医や、医系技官・矯正医官・防衛医官などの公務員という選択肢の他に、医学知識を活かして起業する人もいます。
医系技官とは、厚生労働省に勤務する医師のこと。社会全体の保健医療に携わります。
矯正医官とは、法務省に所属し、刑務所などの矯正施設内に勤務する医師のこと。
防衛医官とは、防衛省に所属し、自衛隊病院や部隊の医務室などで医療活動を行う医師のことです。
様々な選択肢がありますが、その多くは必ず「初期臨床研修」を修了する必要があります。
初期臨床研修とは
医師国家試験を晴れて合格したその先には、2年間の初期臨床研修期間が設けられています。
この期間、国の指定した診療科に加えて自身でもいくつかの診療科を希望し、それぞれの診療科で「研修医」として研修します。
マッチングとは
初期臨床研修を行う病院は、勝手に決定されるわけではありません。
自分自身で初期臨床研修を行なっている病院について調べ、自分の希望する条件にあった病院を探します。
マッチング制度とは、2003年に始まり、初期研修希望者と臨床研修病院とを公平に繋げるための制度です。
簡単に言えば、行きたい病院を登録し、その病院からも来てほしいと思われれば、そこで就職確定といった制度です。
例年、6年生の夏頃に行われます。つまり6年生の秋には、多くの人の就職先が確定しています。
病院見学とは
マッチングに向けて、どんな病院があるのか、そこではどんな研修が行われているかなどを自分自身で調べる必要があります。
そのための情報サイトなども存在しますが、百聞は一見にしかず。
病院見学とは、自分が関心を持っている病院に実際に出向き、そこでの研修の様子を見学させてもらうことを言います。
早い人では2、3年生から、遅くても5年生ごろには多くの人が病院見学をしています。
まとめ
今回は、「医学部医学科とは」について入試制度から学生生活並びに就職まで詳しく紹介してきました。
入試合格後も忙しい大学生活が待っていますが、他学部のように息抜きやアルバイトなども不可能ではありません。
医学部を目指す受験生はぜひ入学後の生活をイメージして勉強へのモチベーションにして早期合格を目指してください。
代官山MEDICALの公式サイトです。
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ウインダムの公式サイトです。
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