エースメディカルみなとみらいの峰岸先生による時事英語解説ブログの過去記事。

テーマ「人種問題」

『時事英語』特別講義のテーマ「人種問題」一覧

「時事英語」特別講義

テーマ「人種問題」
  • 公開日:
  • 更新日:

第1回 テーマ「人種問題」その①

第1回 テーマ「人種問題」その①
皆様はじめまして。横浜にある医学専門予備校:エースメディカルみなとみらい代表の峰岸です。

**********************************

今回から医学部受験に頻出である新聞、雑誌の時事英語を取り上げていきます。

現在の入試ではいわゆる典型的な著作物からの出典が底をつき、刻々と移り変わる世相をとらえた事件や最先端の研究開発の分野における新聞記事や雑誌からの出題が多くみられます。

時事的なものが絡んでくるとどうしても受験生はもとより予備校も手薄になりがちな分野です。

全く記事を読んでないことを念頭に今回から少しずつ入試に狙われそうなトピックを扱っている実際の英字新聞記事を読んでいきましょう。背景知識も説明していきます。

***********************************************

第1回「人種問題」その1 ワシントンポストの記事から(*注 解説しやすいように番号を入れてあります)

Trayvon Martin and dangerous times for black men

¶1 ①For every black man in America, from the millionaire in the corner office to the mechanic in the local garage, the Trayvon Martin tragedy is personal. ②It could have been me or one of my sons. It could have been any of us.

¶2 ①How many George Zimmermans are out there cruising the streets? ②How many guys with chips on their shoulders and itchy fingers on the triggers of loaded handguns? ➂How many self-imagined guardians of the peace who say the words “black male” with a sneer?

まず見出しです。forは「~にとって」ですから「黒人にとって」。timesは一般には「時代」「回数」ここでは「時代」。訳は「トレイボーン・マーチン、そして黒人にとっては危険な時代(時間帯)」ですね。

第1パラグラフ。①文の解説です。every「全て」とあるのですが、その具体例がfromAtoBです。「全てのアメリカの黒人にとって、それはつまり、、、」の訳でいいでしょう。

in the corner officeはオフィスの角に席のある人つまり管理職の「お偉いさん」のこと。personalは「ひとりひとりの個人に向けた」という意味。

トレイボーン・マーチンの悲劇はみなに向けられたものなのだ、ということです。could have been~は「~だった可能性があった」。

ですので「その悲劇は私(のこと)だったかもしれないし、私の息子たちに起こっていたかもしれないことだった」といって言います。

anyは任意で「だれにでも」ですから、そして「その悲劇は私たちのだれにでもあったかもしれないことなのだ」と述べています。

第2パラグラフ。ここではZimmermansと人名に複数形を表すsが付いています。「ジマーマン(のような人たち)」という意味です。

are out thereでoutは強調、be動詞は存在を表します。「一体何人のジマーマン(のような人たち)がいるのだろう?」です。cruising the streetsは「通りを物色しながら徘徊する」です。

chips on their shoulders は「肩で風を切って歩く」様子です、歩きながら肩がぶつかったと因縁をつけて絡んで喧嘩する準備が出来ている様子を表します。itchy fingers on the triggersのitchyは「(痒くて)ムズムスしている」様子です。

the triggersは「(銃の)引き金」ですから、銃を撃ちたくてウズウズしている様子です。loaded handgunsは弾を込めて発砲できる状態の銃のことです。

self-imagined guardians of the peaceのself-imaginedは「(自分勝手に)思い込んでいる」ですguardians of the peaceは平和の守り手(保護者)、つまり「勘違いした自警団」くらいの訳がいいと思います。

say the words “black male” with a sneerは想像できますか?少し難しいですね。「黒人男性」という単語を「せせら笑いながら、軽蔑的に言う」という意味ですね。

つまり会話の中で「黒人」と言う時に少し声のトーンを変えたりして意味ありげに、「こくじん」と発音する様子です。

次回から具体的な事件の様子の描写が出てきます。お楽しみに。

2014年10月15日

第2回 テーマ「人種問題」その②

第2回 テーマ「人種問題」その②

皆様こんにちは。横浜にある医学専門予備校:エースメディカルみなとみらい代表の峰岸です。

**********************************

ここでは医学部受験に頻出である新聞、雑誌の時事英語を取り上げています。今回のテーマは「人種問題」です。これは世界中の人にとってとても重いテーマです。

特にアメリカ社会においては重要な問題で文化的な側面も反映しています。私もアメリカ合衆国に留学していた時に何度か明らかに「差別」されました。

黄色人種も白人社会からみると差別される対象になってしまうのか、と実感し、納得したものの大いに失望した覚えがあります。では続きの記事を見ていきましょう。第3パラグラフからです。

***********************************************

テーマ1「人種問題」その2

ワシントンポストの記事から(*注 解説しやすいように番号を入れてあります)

¶3①We don’t yet know every detail of the encounter between Martin and Zimmerman in Sanford, Fla., that ended with an unarmed 17-year-old high school student being shot dead.

¶4①But we know enough to conclude that this is an old, familiar story.

¶5①We know from tapes of Zimmerman’s 911 call that he initiated the encounter, having decided that Martin’s presence in the neighborhood was suspicious.

②We know that when Zimmerman told the 911 operator that he was following Martin, the operator responded, “Okay, we don’t need you to do that.” We know that Zimmerman kept following Martin anyway.

第3パラグラフ。the encounterは二人のやり取りの「始まり」です。Sanford, Fla.はフロリダ州スタンフォードです。

州の名前と都市名が日本語と逆になりますね。都市名→州名です。例えばChicago ,il はイリノイ州シカゴです。

州名の表記は省略されることが多いです。Calはカリフォルニア州、OHはオハイオ州などです。ended with an unarmed 17-year-old high school student being shot deadのendedは「結末を迎えた」です。

次にwithABの付帯状況を取りましょう。「17歳の武器を持たない高校生が撃たれて死んだ」ですね。このButは一行目の「まだ詳細はわからない」を受けて、しかし「~は」知っている、というロジックを引き出す役割です。

知っている内容は、今回もよく知られたan old, familiar story「昔からあるタイプの話(事件)」だということです。

つまり、この筆者は、今回も黒人の差別がらみのよくある事件だとわかっている、と言っているのです。ちなみに第1パラグラフでも読み取れると思いますがこの記事の筆者は黒人です。ワシントンポストの有名な記者です。

第4パラグラフ。from tapes of Zimmerman’s 911 callですが、まず911 callは、日本での110番や119番に当たる緊急ダイヤルです。

アメリカ合衆国では警察も消防も911番です。ここで2000年の同時多発テロの日付が9月11日であることから、今ではこの事件のことと、それに関する一連の事態を指して911と呼ぶことも覚えておいてください。

ここではジマーマンが緊急ダイヤルをしてきてそれを録音したもの(テープ)から、という意味です。having decided that~は「~と決めてかかって」 Martin’s presence は「マーチンがそこにいること」です。

was suspiciousは「怪しい」です。ジマーマンはオペレーターにhe was following Martin「マーチンを尾行している」といいます。followは「ついて行く、尾行する」です。それに対してオペレーターは“Okay, we don’t need you to do that.”「分かりました。尾行の必要はありません」です。

thatは「尾行すること」を指していますね。しかし、結局ジマーマンはマーチンを尾行し続けます。We know that Zimmerman kept following Martin anyway.この文末のanywayは「何はともあれ、結局は」くらいの意味です。

ここでのweは一般的に読者を巻き込んで「私たち」という意味です。以下の内容は客観的に判明していることを表します。

第5パラグラフ。ここではup to no goodを覚えてください。「良くないことを思いついている」=「悪いことを企んでいる」です。

ジマーマンはマーチンが怪しい、悪いことをしそうだ、と911のオペレーターに言っているのですね。

次回はこうした事件を踏まえていよいよ筆者の意見、記事の核心に入っていきます。お楽しみに。

2014年10月22日

第3回 テーマ「人種問題」その③

第3回 テーマ「人種問題」その③

皆様こんにちは。横浜にある医学専門予備校:エースメディカルみなとみらい代表の峰岸です。

**********************************

ここでは医学部受験に頻出である新聞、雑誌の時事英語を取り上げています。今回のテーマは「人種問題」です。第6パラグラフからです。作者の主張がはっきりと出てきます。しっかり読んでくださいね。

***********************************************

テーマ1「人種問題」その3 

ワシントンポストの記事から(*注 解説しやすいように番号を入れてあります)

¶6①Please tell me, what would be the innocent way to walk down the street with an iced tea and some Skittles?②Hint: For black men, that’s a trick question.

¶7①Some commentators have sought to liken Martin’s killing to the 1955 murder of Emmett Till, an unspeakable crime that helped galvanize the civil rights movement.

②To make a facile comparison is a disservice to history — and to the memory of both young men. It is ridiculous to imply that nothing has changed.

第6パラグラフ。ここは作者の問いかけです。tell meは「教えてくれ」what would be the innocent wayは「何が罪のないやり方なのだ」です。

to walk down the street with an iced tea and some Skittlesは「アイスティとお菓子を手にして通りを歩く」です。

Skittlesはアメのようなお菓子でコンビニで買えるものです。アメリカの高校生がコンビニに寄って飲み物とお菓子を買って、手に持って食べながら歩いている様子が浮かべはOKです。

そしてこれが疑問文になっていて「どうか教えてくださいよ。アイスティとお菓子を手にして通りを歩くときにどのようにしたら罪がないことを証明しながら歩けるのでしょう?」です。

ではその答えはどうでしょうか?次の文をみてください。「(答えの)ヒントです。つまり、黒人にとってはこれはトリックのある質問ですよ」。

という訳になりますね。:は前回やったようにここでは「つまり」。トリックのある質問、つまり答えがない質問ということですね。修辞疑問といいますね。

つまり、そんな方法はないのだから防ぎようがない、マーチンには全く落ち度がないと言っています。

第7パラグラフ。Some commentatorsは「~なコメンテーターもいる」。sought to liken A to Bは「AとBをつなげようとする」という意味です。

1955年のエメット・ティルの殺人事件とマーチンの殺人事件をつなげようとするコメンテーターがいるという意味です。

ここでエメット・ティルの殺人事件の補足説明がan unspeakable crime that helped galvanize the civil rights movementの部分です。

まずthe civil rights movementは必ず知らなければなりません。公民権運動です。民主主義の下、社会的弱者であった黒人、女性が白人・男性と同じ権利がなければおかしいと起こした権利のための社会闘争運動です。

an unspeakable crime はあまり口に出されない、語られることのない犯罪。that helped galvanizeはhelpのうしろにtoを補うとわかりやすいですね。galvanizeは「刺激を与える、刺激して作用させる」です。よって、「公民権運動を推し進める手助けとなったあまり語られる事のない犯罪」でいいでしょう。

第2文。facile は「安易な」。

To make a facile comparisonは「安易な比較をすること」です。disservice は「良かれと思ってしたことが裏目に出ること」です。

a disservice to history — and to the memory of both young men は歴史をゆがめてしまうし犠牲者の名声も歪めてしまう、です。

つまりエメットの死は大きな社会変化を引き起こすのに役割を果たしたのに、「(2つの事件を比較して)同じような事件が50年後も起きている。社会が変わってないじゃないか」という認識は違うと言っているのです。

ちゃんと歴史は変わっているのです。変わってないというならエメットの死も無駄になってしまう、という気持ちの文ですね。

ですからIt is ridiculous to imply that nothing has changed.「何も変わってないということを言おうとして2つの事件をつなげるのは愚かなこと」と批判しています。

ここまでで、作者のオリジナルな視点をご理解いただけると思います。黒人差別による殺人事件が起きた→昔から何度も起きている。

社会が変わってないじゃないか!という、「手あかのついた」論調ではないのです。人々の意識が変わり社会は変わった。

法も整備された。しかし同様の事件が起きている。背景には別の何かがあるのだ。という論調です。次回は正当防衛と過剰防衛の話も出てきます。お楽しみに。

2014年10月29日

第4回 テーマ「人種問題」その④

第4回 テーマ「人種問題」その④

皆様こんにちは。横浜にある医学専門予備校:エースメディカルみなとみらい代表の峰岸です。

**********************************

ここでは医学部受験に頻出である新聞、雑誌の時事英語を取り上げています。今回のテーマは「人種問題」です。

今回の事件も関係者の人種が同じだったらこれほどの騒ぎにならなかったかもしれません。純粋に「正当防衛の範囲」の議論が進んだかもしれません。

人種に関しては従来の白人→黒人といった割と単純な構図ではなく、今回の事件のように非白人→黒人といった構図もみられます。

おかしなことですが黒人が関わっていると事件が「差別」という概念をみなに引き起こすこと自体、現に差別があり、昔からその事実は変わらないということです。残念です。では、記事を見ていきましょう。

第8パラグラフからです。作者の主張がはっきりと出てきます。しっかり読んでくださいね。

***********************************************

テーマ1「人種問題」その4 

ワシントンポストの記事から(*注 解説しやすいように番号を入れてあります)

⑧Some commentators have sought to liken Martin’s killing to the 1955 murder of Emmett Till, an unspeakable crime that helped galvanize the civil rights movement. To make a facile comparison is a disservice to history — and to the memory of both young men. It is ridiculous to imply that nothing has changed.

⑨When Till was killed in Mississippi at 14 — accused of flirting with a white woman — this was a different country. State-sanctioned terrorism and assassination were official policy throughout the South. Today, the laws and institutions that enforced Jim Crow repression have long since been dismantled. Mississippi, of all places, has more black elected officials than any other state. An African American family lives in the White House.

第8パラグラフ。

likenは「 なぞらえる、例える」です。「テレビのコメンテーターはこの事件を公民権運動の拡大の手助けになったエメット・ティルの事件を引き合いに出そうとしている」と現状を述べています。facileは「安直すぎる・深みのない」です。

続けて「しかしそういった安直な比較をすると、歴史においても家族にとってもアダになってしまう。何も変わってないということを暗示するのは馬鹿げたことだ」と言い切ります。

つまり、エメット・ティルの事件と同様な事件が起きてしまったことで、「昔も今も全く状況が改善されてないじゃないか」と言うのは間違っているというのです。

公民権運動でたくさんの血が流れ、歴史は確実に変わってきたのだ。でも、変わってないこともあるのだ(暗示→後述)という作者の強い思いが表されていますね。

第9パラグラフ。flirtingは「異性にちょっかいを出す」です。ここの訳は「白人女性にちょっかいを出したとなじられて14歳のティルがミシシッピ-で殺されたとき、この国は今とは別の国でした」です。

つまり今ではちゃんと社会は変わっているということですね。次のState-sanctionedは「国が認めた」の意味です。

state -sanctioned examsは「国家試験」。state -sanctioned terrorismは国家がテロを黙認していることを指します。assassinationは「暗殺」。official policyは「公式な方針」つまり「一般に認知されるやり方」です。

the Southは「南部の州、つまりメイソン・ディクソン線という南北戦争の境界線で、奴隷州と自由州を分けるといわれる境界線の南側の州」です。

さらにミシシッピ、アラバマ、ジョージアといった州はdeep southと呼ばれます。「南部の州においてはテロや暗殺は当時は一般によくあることだった」というわけです。

次のJim Crow ( laws )は「非白人の(主に黒人)が一般公共施設を利用することを禁止・制限した法律の総称」です。

1964年に廃止されました。Jim Crow repressionはrepression caused by Jim Crowつまり「この黒人差別法による抑圧」という意味です。

「今日、この法やそれに基づく抑圧を実践した制度は長い間に解体させられてきました。

今ではミシシッピ州は黒人の選出議員がどの州より多いし、ホワイトハウスにはアフリカ系の大統領が住んでいる」と社会の変化を述べています。

ここでエメット・ティル事件についてですが、シカゴに住んでいてミシシッピに住む親戚を訪ねていた14歳の黒人少年が買い物先で白人女性を誘うようなことを言ったという理由で、白人集団にリンチを受け撲殺されて川に投げ捨てられた事件です。

しかも逮捕された白人は陪審員裁判で無罪になりました。少年の母親は、目をえぐられ顔がわからないくらい殴られ変形した殺人の惨さを知ってほしいと柩の蓋を開けて葬儀をしました。

さすがに抗議の世論が湧き上がり、差別をなくし平等を訴える公民権運動が拡大していきました。アメリカの一つの黒歴史ですね。

2014年11月05日

第5回 テーマ「人種問題」その⑤

第5回 テーマ「人種問題」その⑤

皆様こんにちは。横浜にある医学専門予備校:エースメディカルみなとみらい代表の峰岸です。

**********************************

ここでは医学部受験に頻出である新聞、雑誌の時事英語を取り上げています。今回のテーマは「人種問題」です。第10パラグラフからです。

***********************************************

テーマ1「人種問題」その5 

ワシントンポストの記事から(*注 解説しやすいように番号を入れてあります)

¶10 Black America was never a monolith, but over the past five decades it has become much more diverse — economically, socially, culturally. If you stood on a street corner and chose five black men at random, you might meet a doctor who lives in the high-priced suburbs, an immigrant from Ethiopia who drives a cab, a young aspiring filmmaker with flowing dreadlocks, an unemployed dropout trying to hustle his next meal and a midlevel government worker struggling to put his kids through college.

¶11 Those men would have nothing in common, really, except one thing: For each of them, walking down the wrong street at the wrong time could be a fatal mistake.

¶12I hear from people who contend that racism no longer exists in this country. I tell them I wish they were right.

¶13Does it matter that Zimmerman is himself a member of a minority group — he is Hispanic — or that his family says he has black friends? Not in the least. The issue isn’t Zimmerman’s race or ethnicity; it’s the hair-trigger assumption he made that “black male” equals “up to no good.”

第10パラグラフ。monolithは「一枚岩」。一丸となっている様子です。「アメリカに住む黒人はもともと決して一枚岩ではなかったが、この50年で経済的にも、社会的にも、文化的にもさらに多様化した」と述べています。

具体的には「もし通りの角に立って無作為に5人の黒人を選ぶと、高級住宅街に住む医者、エチオピアからの移民のタクシー運転手、ドレッドヘアーの映画監督志望者、食事に困っている失業者、子供を大学に入れようと頑張っている中間管理職の公務員を目にするだろう」と黒人たちが現代のアメリカ社会の構成員として様々な地位を占めていることを述べています。

第11パラグラフ。ここではそうしたアメリカ社会の構成員である黒人には「たった一つの点を除いて何の共通点もない」と述べています。

ここで作者は三段論法を使っていますね。つまり①唯一の共通点=黒人(本文に直接の記述なし)②唯一の共通点=「それは彼ら一人ひとりが、間違った時間に間違った通りを歩くと致命傷になる」つまり③「黒人であること自体が今でもある状況下では危険であるのだ」という現状を述べていますね。

第12パラグラフ。ここは簡単ですね。contendは「主張する」。racismは「人種差別」。「私はこの国において人種差別はもはや存在しない、と主張する人たちの意見を耳にします。私は彼らが正しいことを願っています」ですね。

第13パラグラフ。ここで話題が転換し、「犯人のジマーマン自身がヒスパニック、非白人であり、家族が言うように黒人の友人がいることは重要だろうか?」と問いかけます。

つまり白人→黒人という構図ではない。むしろ彼自身が白人に差別される側の人間だったことは意味があるか?と言っています。

英文では原則として?の文の答えは次の文に出てきますね。今回の答えは「全然重要でない」です。not in the leastは not at allと同義です。

「彼の人種や民族が問題ではなく、“黒人”=“悪いことを企んでいる人”と黒人を見るとすぐに決めつけようとする考え方が問題なのだ」と言っています。

つまり黒人を見ると白人、アジア系、ヒスパニック系を問わず「何か危ない」と考えてしまう風潮があるでしょ?と疑問を投げかけています。そこに偏見があり悲劇につながるという明快な論理ですね。

次回はこの記事の最終段落まで扱います。お楽しみに。

2014年11月12日

第6回 テーマ「人種問題」その⑥

第6回 テーマ「人種問題」その⑥

皆様こんにちは。横浜にある医学専門予備校:エースメディカルみなとみらい代表の峰岸です。

**********************************

ここでは医学部受験に頻出である新聞、雑誌の時事英語を取り上げています。今回のテーマは「人種問題」です。いよいよこの記事が終わります。第14パラグラフからです。

***********************************************

テーマ1「人種問題」その6 

ワシントンポストの記事から(*注 解説しやすいように番号を入れてあります)

¶14 This is one thing that hasn’t changed in all the eventful years since Emmett Till’s mutilated body was laid to rest. It is instructive to note that Till grew up in Chicago and just happened to be in Mississippi visiting relatives. Young black men who were born and raised in the South knew where the red lines were drawn, understood the unwritten code of behavior that made the difference between survival and mortal danger. Till didn’t.

¶15 Today, young black men grow up in a society where racism is no longer deemed acceptable. Many live in integrated neighborhoods, attend integrated schools, have interracial relationships. They wonder why their parents prattle on so tediously about race, warning about this or that or the other, when their own youthful experience tells them that race doesn’t matter.

¶16 What could happen on the way home from the store with some Skittles and an iced tea?

¶17 ①Whether Zimmerman can or should be prosecuted, given Florida’s “stand your ground” law providing broad latitude to claim self-defense, is an important question.

②But the tragic and essential thing, for me, is the bull’s-eye that black men wear throughout their lives — and the vital imperative to never, ever, be caught on the wrong street at the wrong time.

第14パラグラフ。さらに「この点がエメット・ティルが惨殺されて埋葬されて以来様々なことが起きたが一貫して変わらないことの一つなのだ」と述べ、この事件の説明に入ります。

mutilated bodyは「バラバラになった死体」。lay to restは「埋葬する」。instructiveは「ためになる」。noteは「書き留める、気を配る」。

「南部で生まれ育った黒人の若者はレッドラインがどこに引かれているのかを知っていて、生き残れるか致命的な危険にあうかを分けるような、暗黙の了解の行動を理解している」のに対して「エメットは北部のシカゴで育った」のでこれを知らなかった、と言っています。

「レッドライン」は生死を分ける境界線のことですね。unwritten codeは「書かれていない暗号、暗黙の了解」ですね。

第15パラグラフ。be deemedは「みなされる」。訳は「今日、黒人はもはや人種差別が受け入れられないような社会で育っている」です。integrated schoolは「多人種の学校」。

interracialは「人種を超えた」。prattle onは「ぺらぺらとしゃべる」。 tediouslyは「くどくどと長く」。ここでは若い黒人が今育っている環境で人種差別を経験していないのになぜ親たちがしつこくあれこれ人種について警告するかわからない、ということを述べています。

第16パラグラフ。ここの訳は「では、お菓子とアイスティーをお店で買って帰宅する道で一体何があったのだろうか」です。第15パラグラフとセットで暗に「人種問題があるんだ」と言っていますね。

第17パラグラフ。ここではまずGivenの使い方を覚えてください。「~を考慮すると」です。

”stand your ground” lawは「正当防衛法」です。この法律が議論を呼ぶのは「危機があったのか」や「回避努力したか」という認定要件がなくても「危険を感じた」ならば「相手を撃ってもよい」と解釈される点です。

本来の「自己防衛」以上のことをしてもいいということです。この法律と同種のものが南部を中心に存在します。助動詞canは可能性を表します。

latitudeは「考えなどの範囲」です。ここでの訳は「ジマーマンが起訴されるべきか、そもそも可能なのかは、フロリダの正当防衛法が自己防衛主張の範囲を広く認めている点を考えてみると重要な問題なのである」です。

次にthe bull’s- eyeは「標的の中心部、目印」です。そして「悲劇的だが本質的なことは私たち黒人は一生標的になっていて、間違った時間に間違った場所で絶対に見つかってはいけないことが重要だ」と締めくくっています。 

いくら社会が変わっても変わらないもの、それは黒人への根強い偏見であり、簡単にはなくならないから黒人は自己防衛するしかない、という悲しい主張ですね。

一人ひとりが人種問題についてじっくり考える事は大切なことですね。ちなみにこの事件の裁判ではジマーマンがマーチンともめた際に「頭部に怪我をし、鼻を折られた」と正当防衛を主張、16時間の陪審員の審議の後、無罪が言い渡されました。

全米各地で抗議運動が起き、黒人の多いロサンゼルスは一時、非常事態宣言を発し、オバマ大統領も「冷静になってほしい」と異例のコメントを出しました。同種の事件が起きないように願うばかりです。

2014年11月19日

他の記事についてはコチラから

プロフィール

峰岸敏之

早稲田大学大学院法学研究科卒業後、大手新聞社で記者を経験し、講師へ転向する。大手予備校の河合塾をはじめとした有名予備校や医学系予備校などで、英語科責任者などを担当。

15年以上に渡って高校生や高卒生を指導した経験を活かし、2013年に「絶対合格」を合言葉に医学部専門予備校、エースメディカルみなとみらいを横浜に開校。代表を務めながらも自ら英語・小論文を指導し、毎年多くの医学部合格者を輩出している。

医学部予備校の特集企画
現役生の医学部受験 医学部とは
医学部独占インタビュー!野田クルゼ 医学部独占インタビュー!学び舎グループ
医学部独占インタビュー!代官山メディカル 医学部独占インタビュー!ウインダム
医学部予備校独占インタビュー!~医進の会~ 医学部独占インタビュー!四谷学院
医学部予備校独占インタビュー!~TMPS医学館~ 「時事英語」特別講義
医学部予備校ランキング 医学部予備校独占インタビュー!~東京医進学院~
医学部の基礎知識
医学部を徹底比較
医学部受験対策
医学部予備校詳細
PAGE TOP